昨日6月2日、キャリアカウンセリング協会特別セミナー「スローキャリアのすすめ」に参加、慶応義塾大学大学院教授 高橋俊介先生の余談たっぷり、笑いいっぱいのご講演を楽しみました。

開口いちばんに「ゆっくり働くという意味ではないんです」と高橋先生。スローキャリアとは「目的合理性、上昇志向、見た目の効率性、計画と実行との分離という産業化社会のパラダイムを、キャリアの世界に持ち込むことへのアンチテーゼ」とのことです。

高橋先生は、1999年に米国で発表された「プランドハプンスタンス理論」を日本でおそらく初めて、著書「キャリアショック」(2000年)で紹介されました。プランドハプンスタンス理論とは「キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし対応することを積み重ねることで形成される」というキャリア形成モデルのひとつ。

その理論の紹介者だけあって、「目標」「夢」「志」という言葉が大っきらい!と言い放って笑いを誘う高橋先生。

私は志に生き、夢を育み、夢へのマイルストーン目標を掲げるのが大好き! ちょっとばかり居心地の悪い想いで拝聴しておりましたら、「日々の仕事は何のためにやっているか、何が目的か意識し、圭っ買うてきに行うことも重要」「キャリア形成において、夢、ヴィジョン、方向性をもつのはOk」とおっしゃっる。これは、「長期のビジョンはアバウトに、短期の計画は明確に」という私の持論と一致します。

ともあれ、お話が進むにつれ、スローキャリアという考え方はチクセント・ミハイのフロー理論に近いように聴こえてきました。

フローとは、そのときの取り組みに完全に没入、集中し、時を忘れるほどめり込み、そのプロセスが楽しくてかつ創造的な精神状態です。高橋先生のスローキャリアとは「目の前の仕事にはまる」ことであり、仕事そのものを楽しみながら、キャリア形成をめざすという考え方です。

それぞれプロセスでの忘我といえるような境地を歓迎しており、動機づけの理論がベースにあって、やる気と動機の関係を重くみています。

高橋先生によれば、「動機にドライブされて能力を発揮している時は、ストレスを感じにくくはまりやすい、それがその人の勝負能力となる」のだそうです。勝負能力開発は「新しいやり方、新しい課題、新しい仕事に常にチャレンジして、それに気付き開発すること」とか。確かに、新しい仕事は困難があるものの、自分の新しい可能性を拓いてくれます。

自論である「長期のビジョンはアバウトに、短期の目標は明確に」に加えて、「いまの仕事にはまろう!」という標語を加えることにした高橋先生の「スローキャリアのすすめ」でした。

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