「平成21年度第1回ヤング・ジョブ・あいち運営協議会」が開催され、委員として参加いたました。

日時:7/13(月)13:30~15:30
会場:中日ビル会議室

ヤング・ジョブ・あいちは愛知県と愛知労働局が中心となって運営している40歳未満の若年者の就職総合支援施設です。かつては35歳未満を対象としていましたが、40歳未満までに対象を拡大し、ニート・フリーター化の歯止めにも貢献しています。

愛知県では16万人が仕事を探している!

求職者1人に対する求人数を示す、5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.44倍で、前月を0.02ポイント下回り、1963年の調査開始以来最低となりました(6/30 厚生労働省発表)。すでに4月には過去最低に並び、今月で12カ月連続の倍率悪化を記録しました。

ヤング・ジョブ・あいち運営協議会でも、「ハローワーク中」の担当者から、次のような報告がありました。

●愛知県の有効求人倍率は0.49倍で、前月0.52倍を0.03ポイントを下回った。
●これは先月と引き続き、全国でワースト1の数値である。
●新規求人倍率は4月の0.82倍から5月0.91倍へ、0.09ポイント上昇した。

●愛知県の若年者雇用指標をみると、有効求人倍率は全国値を上回っている。
●完全失業率、新卒者就職後3年間の離職率は全国値を下回っている。

4月の有効求人倍率は0.52倍で過去最低の0.53倍 を下回り、5月はこれをさらに更新、求職者2人に対して仕事は1つ以下という厳しい状況が続いています。

一方で、新規求人倍率は微小 ながら上昇し、全国との比較では厳しさが薄まる印象です。エコカー減税によるプリウス人気によってトヨタ自動車の業績が回復して、地域の景気回復の機動力になるのを祈りたい・・・というのが、関係者の気持ちでしょうか。

とはいえ、16万人近い人たちが愛知県下で仕事を探しています(2009年5月 月間有効求職者数157,254人)。昨年5月の89,155人と比べると、その深刻さが分かります。

新卒採用という雇用習慣を見直そう!

ヤング・ジョブ・あいちは若年者の就職支援を行う総合施設であり、若年者の雇用指標の改善をめざす行政施設ともいえます。こうした協議会への提案としては不適切かと懸念しながらも、私は次のような見解を述べました。

●雇用行政はセイフティネットのひとつであるものの、セイフティネットとしての雇用を必要としていない人も増えているのではないか。

●一方で、経済産業省が「社会人基礎力」の向上に予算を注ぐほど、若年者の社会化の遅れが社会問題となっている。

●採用枠がショートしているうえ、企業の選定基準も厳しくなっている現在、セイフティネットとしての雇用の必要のない人については、さらなる社会化訓練、職業訓練の経験を積むなど、新卒採用という日本特有の雇用習慣を見直す動きを作るような施策を議論するのも必要ではないか。

”ニートレーニー”を歓迎し、支援しよう!

私自身、大学を卒業してすぐに就職した商社を1年で退職し、その後30歳になるまではフリーライターでした。フリーライターといえば聞こえがいいものの、当時はその呼び名がないだけで、今で言うフリーターと大差のない働き方をしていました。

その後、30歳で銀行系のシンクタンクに採用され、経営コンサルタントとして社会のフロントで仕事をするようになりました。このラッキーなキャリアをつかめのは、フリーターとしての数年間の経験があればこそと思います。

この時期、私はたくさんの修業的な経験を積んでいました。26歳で心理カウンセリングに興味をもち、愛知教育大学さんで聴講をした後、京都大学大学院を受験し不合格となりました。そこで、広告業界で身につけたセンスを理論化しようと方向転換し、28歳で母校の商学部に戻りました。

貯金が貯まったら・・・と言う私に、早いほうがいいと助言してくれたのは母、授業料を出してくれたのは両親です。個人的なセイフティネットがあったので実現できた経験です。生活費を切りつめても、教育に支出を惜しまなかった父母に感謝しています。

2度目の大学生活では、サービスマーケティングという領域に興味をもちました。サービスマーケティングの知識、理論は、91年からブームとなったCS経営(顧客満足を創る経営)の専門家への道を拓いてくれました。サービス業の経営においては、コンタクトパーソネル(接客担当者)の育成が要となることから、人材育成、人材開発の分野での知識、スキル、ノウハウを積むところとなり、現在にいたっています。

意味のある経験をきちんと積むことができれば、新卒での採用を逃すと不利ということはありません。ポイントは、意味のある経験を積み、仕事をするための基礎的な能力や専門性を磨いていけるよう、専門家による適切な助言を受けたり、キャリアパスの設計を相談できる機会が持てるかどうかだと思います。

ヤング・ジョブ・あいちのような若年者就職総合支援施設が、そうしたニーズに応えられる専門家を擁することができれば、ニート(not engaged in education,employment or training)ではなく、積極的無業者としてのニートレニー(trainees  not engaged in education and employment)の支援が可能になるのではないでしょうか。

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