略称サンプロで知られる『サンデープロジェクト』

TV朝日系で日曜10:00~11:45に放映されている報道・政治討論番組に
1/14、大塚耕平さん(内閣府副大臣)が出演。与謝野馨さんと討論しました。

討論のテーマは「日本の経済成長 回復軌道へ?」らしかったのですが
前裁き(?)として、与謝野氏の「鳩山総理無心発言」について
お二人が口角泡を飛ばす大口論(あえて議論とは言わない)を繰り広げました。

ファシリテーションの専門家としては、二人の口論の場面は
不可思議な光景であり、腹立たしさも感じ、ひと言述べたくなりました。

大塚さんは一貫して「事実に基づく発言を」とお願いをしているのに
与謝野さんは、これを受け入れるとも入れないとも回答することはなく
頑として、「鳩山総理はお母さんからお金をもらった」と言い続ける始末。

大塚さんが友人であるという、身びいきの欲目を差し引いても
「事実」に基づかず、刑事罰にも関わる国会質問をするなどナンセンス!

大塚さんは野党時代から、与党側(当日)の与謝野さんのことを褒めていて
その与謝野さんのあの態度には、とてもがっかりしているに違いないことが
「与謝野さんともあろうお方が・・」という言葉から伺われる気がしました。

そして、政治家もファシリテーションを勉強しないと、議論にならない!

ファシリテーションとは「促進」と直訳され、会議やセミナーにおいて
その進行や人々の知情意のプロセスを促すことを意味します。

そして、ファシリテーションの分野には、プロセスに対する概念として
コンテンツ(話題、内容、テーマ)というキーワードがあります。
※詳しくはこちらから

大塚さんは「事実を提示して、国会で質問をしてください」と
質問の仕方について言及=プロセスに関わる提案をしています。

一方、与謝野さんは「総理はもらったに違いない」と
今般の話題=コンテンツに関することばかり述べているうえ、しかも推測。

そもそも、この手の番組はコンテンツばかりを述べる出演者たちの
「推測」のデパートであり、議論のプロセスに配慮しながら
議論を深め、建設的な結論を創りだそうとするプロセスが見えません。

推測と推測で、ケンカ並みの討議をふっかけ合うのは、何のため?

お互いに人の話しの本質をつまもうとせず、人の話しが終わらないうちに
われ先に言いたいことだけ述べて、議論がキャッチボールになっていません。
大きな声の人、耳障りにおいてインパクトのあることを言った者勝ち!
異論を唱える相手をやりこめるだけが、そのプロセスに思えて不快です。

人のケンカを傍観させ、愉快痛快を味あわせることが本意なのでしょうか?

時々、知り合いが出演する時だけ、やっとの思い(笑)で見ている次第です。

ま、これらの番組の本質は報道ではなく、エンターテイメントであり
大衆の笑いを誘い、体制への反抗心を投影し扇動する番組づくりをして
視聴率をあげて、TV局側の営利目的を達成したいということなのでしょう。

とはいえ、こうした番組の影響力を鑑みれば、もう少し建設的な議論の場面を
人々、特に子どもたちに見せて欲しいものです。

政治家には議論の作法として、ファシリテーションの基本スキルを教えたい!

ファシリテーションの基本スキルは、人と人が共同し協働して生きていくために
必要なコミュニケーションスキルであり、とても基本的なことがらばかりです。

■人の話しは真意をつかむまでよく聴く
■最後まで聴いて発言する
■相手の発言のポイントを反復したり質問したりして、相互の理解を確かめる
■相手の気持ちも受け止めながら議論する
■相手や相手の発言をやりこめるためではなく
建設的な結論を一緒に探し、創ろうとして発言する

ついでながら、ファシリテーション研修に参加してくださる学習者の方から
「サンプロ(朝までTV)の田原総一朗さんはファシリテーターですか?」と
質問されることが度々、あります。

田原さんは、ファシリテーターとしての役割を果たしている場面もありますが
基本的には、ファシリテーターというよりはコメンテーターであり
コメンテーターがたまたま、討議の進行役をかねているのだと思います。

ファシリテーターは討議の進行=プロセスに責任を持ち
その結果として、メンバーによる建設的課題達成を支援する人です。

ファシリテーターも時には、自論を述べることもありますが
自論によって、討議の進行をコントロール(統制)はしません

田原さんは自論によって、討議の進行をコントロールしていますから
ファシリテーターというには、その条件を満たしていないと思います。

余談はさておき、報道・政治討論番組にひと言!

TVは公共的なかつ日常的な視聴覚教材になっていますから
人々の思考のパターン、コミュニケーションのパターンを知らず知らずに
作り上げてしまうものです。

できるなら、「ウケる番組」ではなく「真実や本質にせまる番組」づくりに
もっと力をいれて欲しいと、痛感している昨今です。

視聴者である私たちも、事実が何かをしっかり見定めて
事実から適切な仮説を提示し合い、検討し合いながら
真実をつかむ眼や耳を培っていきたいものです。

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