今年3月、大震災を慮り、卒業式を中止した立教新座高校の校長
渡辺憲司先生が卒業生たちに贈ったメッセージが話題になっているそうです。

本当に素晴らしいメッセージです。

衿をただし、背筋を伸ばし、心の眼をひらき、耳を澄まして
これまでの道、これからの道をふりかえりたくなります。

戦後最大の苦難に生きる私たちはいま、何ができるかのみならず
地球に生きる者として、何をすべきかを深く考えさせられます。

渡辺先生は、福音書の言葉を引用されました。
「真理はあなたたちを自由にする」 ヨハネによる福音書8:32

大きな自然の営みの中では、あまりにも小さく、無力な私たちに
今こそ、真理を見つめようと呼ぶ声が聞こえてくるようです。

2011.3.24トピックスとして、立教新座中学校・高等学校 公式サイトに
公開されており、遅ればせではありますものの、ご紹介いたします。

筆者文責による抜粋は下記のとおり、全文は同校公式サイトからご覧ください。

 

「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。」からの抜粋————

今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、
数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。

これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに
思えるかもしれない。私は躊躇した。
しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして
どうしても以下のことを述べておきたいと思う。

大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。
大学での青春とは、如何なることなのか。

大学だけが学ぶところではない。

大学で得る友人が、すぐれたものであるなどといった保証はどこにもない。

エンジョイするために大学に行くと高言する者がいる。

これほど鼻持ちならない言葉もない。ふざけるな。今この現実の前に真摯であれ。

君らを待つ大学での時間とは、いかなる時間なのか。

学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、
何のために大学に行くのか。

誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか
「立ち止まる自由」を得るためではないか

現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。

自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。
流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。
愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

「真理はあなたたちを自由にする」 ヨハネによる福音書8:32

私は、今この時だからこそ、諸君を未来に送り出したいとも思う。
惨状を目の当たりにして、私は思う。
自然とは何か。自然との共存とは何か。文明の進歩とは何か。
原子力発電所の事故には、科学の進歩とは、何かを痛烈に思う。
原子力発電所の危険が叫ばれたとき、私がいかなる行動をしたか、
悔恨の思いも浮かぶ。

世界の各国から多くの救援が来ている。地球人とはなにか。
地球上に共に生きるということは何か。そのことを考える。

今ここで高校を卒業できることの重みを深く共に考えよう。
そして、被災地にあって、命そのものに対峙して、
生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げよう。
共に共にいまここに私たちがいることを。

被災された多くの方々に心からの哀悼の意を表するととともに
この悲しみを胸に我々は新たなる旅立ちを誓っていきたい。

巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。

梅花春雨に涙す2011年弥生15日。

(立教新座中学校・高等学校 公式サイト 2011.3.24トピックスより)

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2 Responses to “真理は人を自由にする ~3年生諸君への立教新座高校校長メッセージ”

  1. 府中 より:

    すばらしいメッセージですね
    感動しました
    ありがとうございました

  2. harutin より:

    このメッセージを受け取った卒業生は、きっと社会人になってこのメッセージの意味を深く知るのでしょう。

    今は分からなくてもいずれ必ず心に響く。
    これこそが真の教育だと思いました。

    素晴らしいメッセージをご紹介くださり誠にありがとうございます。
    私のブログでも紹介させていただきます。

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