ニューヨークをはじめて訪ねました。記念すべき第1回 高野登ニューヨーク寺子屋百年塾に参加するためです。

高野登さんとは1996年、リッツ・カールトン大阪の開業取材でお世話になって以来、はっと気づけば20年来の交流。そのご尽力のおかげで、拙著『面倒くさがりやでもうまくいく ラクな段取り』『ハーバード流 幸せになる技術』が誕生。さらに2015年、高野さんを塾長に掲げる百年塾のひとつとして立ち上げた復幸キャラバン百年塾の塾頭でもあるわたくしですから、拙著産みの父、塾長が海外初となるニューヨークでの百年塾を応援するとなれば、ご一緒するしかない!というわけで、一昨年から日程を抑え、復幸キャラバン百年塾の主要メンバーたちと遠征した次第です。

現地時間5/3(木)18:00~20:00、日本クラブで開催されたNY寺子屋百年塾の塾長講話「グローバリゼーションの正体とダイバーシティとの向き合い方」で、初めにつかんだキーワードは「Me First(自分ファースト)」。いわゆるダイバーシティが進む街で、職業や準拠集団や(階級ともいえる)階層の壁をたくさん垣間見ました。「幸せは成功に先行する」とは、元ハーバード大学講師の「タル・ベン-シャハー」の言葉ですが、NYではいまだに「成功の神話」=成功すれば幸せになれるという信念が人々を支配しているようでした。

グローバリゼーションが、高野さんが説くように米国の世界戦略であるならば、グローバリゼーションは地球の秩序と平和を壊していくでしょう。地球と人類のためのグローバリゼーションをめざすために、本物のダイバーシティをめざさなきゃ!…と痛感した、高野登さんの講話とニューヨーカーの皆さんとの交流でした。

高野登NY寺子屋百年塾がソサエティでもネットワークでもなく、NYの温かくて優しいコミュニティと成るよう、お手伝いしたいと願う気持ちが生まれました。幸せになれば成功が後からついてくるという実践知をニューヨーカーたちに広められるよう、第ニ回からもニューヨーク寺子屋百年塾に継続参加する決意です。その折には、皆さまもぜひ、ご一緒に!

ご参考までに、高野塾長講話のサマリーを下記にご紹介いたします。これは、ニューヨークへご一緒し、同百年塾に参加した箕輪由紀子さんが作成したもので、ご本人の了解を得て、公開しています。箕輪さんの感性による編集であることを前提に閲覧願います。

 

第1回
高野登ニューヨーク寺子屋百年塾
「グローバリゼーションの正体と
ダイバーシティとの向き合い方
高野塾長講話 サマリー

・百年塾は、それぞれが持っている知識や知恵を刺激し合う場である。
・将棋、囲碁が好きで、ニューヨークの日本クラブの会員になり、教えてもらった。
・教えてくれた人は、後にプラザホテルの総支配人を紹介してくれるJALの米州地区総支配人であった。
・アメリカでは、こういう場合、いきなり名刺交換はせず、人と人とのつながりができてから行う。
・ニューヨークに10年、カリフォルニアに10年いたが、アメリカは競争社会で勝たなければいけない社会である。
・働いている人がどうシステムを動かすかは、その人の人間性にかかっている。
・何を学ぶかが明確になっている人がグローバリゼーションの時代に適応できる。
・アメリカのホテルがヨーロッパに展開するのはexpansion(拡げていく)と言い、アジアに展開するのはconquer(征服する)と、言っていた。
・グローバリゼーションとは、世界をアメリカにすること。地球をアメリカにすることである。
・(高野塾長は)洞察を重ね仮説を立てる力は持っている。
・ニューヨークをアメリカだと思ったことはない。
・ニューヨークだけにいたら、アメリカはわからない。
・モンタナやコロラドに行ったら、ニューヨークに行ったことがないアメリカ人がたくさんいた。トランプ大統領の支持者の多くは、東海岸や西海岸の人ではなく、これら内陸部の人達である。
・誰かの発想に巻き込まれないこと。
・自分の軸をぶらさないために必要な3つのこと。
1)人と出会うこと。
2)本と出会うこと。
今出会えない過去の人に会える。自分の感性で受け止め、本の読み方をデザインする。時間をかけて読み解く。
3)山水と出会うこと。
自然と向き合うと、謙虚になれる。
・自分の言葉を持っている人はいそうで、意外と少ない。本の言葉をそのまま語るのではなく、良書をきちんと読み解く力が必要である。
・ニューヨーク時代、図書館が勉強の場であった。スタッドラーヒルトン時代に、プラザホテルに関するあらゆることを調べた。この時に、図書館司書の方にお世話になった。
・今日(平日の午前中)、図書館に行ったら、5~8歳の子ども達40人位が、静かに本を読んでいた。日本では見ない光景である。
・勉強する人が集まっているところで、自分は大丈夫か、と気づく力が必要である。
・塾で詰め込まれるより、図書館で好きな本を読んだほうが情緒が磨かれる。
・スリランカの内戦終了の約一週間後に訪問した。
・小学校で6-7歳の子どもの膝の上に2-3歳の兄弟が座っている。45分間の授業中、誰も騒がない。
・スリランカの子ども達には、将来の夢が明確である。基本的には、国を支える職業を希望する。
・6-7歳から明確に将来を考えている国と日本を比べると、心配になる。
・スリランカの子どもにとっては、勉強をできる環境にあるのにしないのは、疑問である。
・厚労省の自殺白書によると、15歳から34歳の死因の1位は自殺である。20台の死因1位も自殺である。
・自殺の根本的原因に踏み込むと、国が対策を考えなければいけなくなる。
・日本の競争力を高めるグローバリゼーションと言われているが、少子高齢化と若者の高自殺率をまず考える必要がある。
・限界集落は、日本の約6割である。
・東京は、100人に1人が外国人である。
・日本は300年間の長きに渡り、鎖国によりグローバリゼーションを見て来なかった。
・「働き方改革」は、労働意欲をなくさせ、日本人の本来持っている強さを阻害している。
・明確な目的や価値が見えていたら、仕事をしたくて休みは必要ないことがある(ペンシルバニアのホテル時代に、8ヵ月間一度も休みを取らなかった)。
・今の日本は、ゆでガエルに近い。
・先日、メンターのフランシス・ヘッセルバインに会い、また質問された。
-昨年はどういう年だった?
-今年のスタート時に、あなたは何を考えた?
-あなたの価値は何?
-あなたが人を幸せにしたことで、最大限誇りに思うことは何?
・ドラッカー氏に言われたこと。「日本人であることに誇りを持つべきだ」「日本人がこれから世界中の人に価値を与える可能性があることに、誇りを持つべきだ」
・ダイバーシティとは、自分で自分を定義すること。自分の隣にいる人と自分の違いを考えることである。
・ホスピタリティとおもてなしの違い。
・ホスピタリティは、西洋の旅人つまり、人のため。元々、旅人を癒す安息所が語源。旅人は、生活の一部としてであった。
・おもなしも旅人のためであるが、江戸後期でも旅をできるのは特殊な人で、神や仏のように崇められていた。日本の旅館は、元々は神や仏のためであった。
・ユニバーサルデザインは、日本は整っているほうである。東南アジアは、ハード面は整備されていないが、ハートでカバーしている。
・日本の大学教授で30年後に残るのは、せいぜい30%である。努力をしないとロボットに代わられる。
・ロボット以上の仕事をしているホテルマンは、東京でも少ない。
・あなたでなければできない仕事は何か?
・「いつでも、どこでも、誰にでも」ではなく、「今だけ、ここだけ、あなただけ」を考えると、AIの時代でも、おもてなしやホスピタリティが益々大事となる。
・ロボットには夢を見る力(夜、将来)、共感する力、想像/創造する力仕事はない。
・自国の国旗や国歌を語れないと、海外では尊敬されない。
・そこに住んで、そこで呼吸しないとわからないことがある。
・アメリカは、ベクトルが常に自分に向いている(Me first!)。
・日本は「支え合いと分かち合い」を2000年以上してきたが、ニューヨークは、「競いあって、奪い合う」中で、自分はどうするかを考える。
・ニューヨークは、地球の首都である。
・アメリカンマネジメントとニューヨークマネジメントは違う。
・ニューヨークには独特の価値観がある。
・ザ・リッツ・カールトンの本社がニューヨークにあったら別物になっていた。
・ニューヨークをわかっていないと、自分の立ち位置を間違える。
・ニューヨークは、リソース(お金、能力、胆力)があれば、自由を手に入れられる。但し、これを手に入れると、安らぎが減る。
・昔の戸隠は、自由にできるものが少ない(しがらみ)が、安らぎがあった。支え合い、分かち合っていたが、今では安らぎが減った。
・日本の学生は、海外に行かなくなった。自分でそこに行き、自分の感性を磨かないと、グローバリゼーションは難しい。
・企業から海外赴任を希望する人も減っている。
・必要とされる人間は、どこでも必要なとされる。
・日本人としての軸を失わず、日本人らしさを残しつつグローバリゼーションを目指す日本人が、最も尊敬される。
・熱い思いを持っているから全て上手くいくとは限らない。
・ニューヨーク百年塾は、日本人留学生や社会人がつながる場になって欲しい。
・いろんな人が来たいと思う場をつくる。

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