人材育成マネジメント研究会さんの「インストラクショナルデザインセミナー」に参加しました。“よいセミナー、悪いセミナーを見分けるコツ”というデリバリー側としてはどきどきするようなサブタイトルに魅かれ、インストラクショナルデザイン(ID)の基礎知識とIDに基づくセミナー設計のメリットを体験的に学びました。
講師は、岩手県立大学ソフトウェア情報学部講師 市川 尚先生で、日本のインストラクショナルデザイン研究の第一人者 鈴木克明先生のお弟子さんです。お若い先生にも関わらず、さすが第一人者の直弟子さんだけあって、難しげなIDの勘所を理路整然かつ分かりやすくご説明くださり、理論の数々が自然に脳に染み込んでくるようでした。
主催者の堤宇一さんが理論の実践への展開をコメントされ、うなずくところの多いセミナーでした。堤さんによれば、「(セミナーの)舞台裏を見てみよう!」と企画し、「手品のタネ明かし」だとか。手品のタネは明かされたら興ざめですが、セミナーのタネは明かされるほどにセミナーの質を押し上げるのですから、素敵です。
さて、”良いセミナーか、悪いセミナーかを見極める”ための9つのチェック項目は、次のとおりです。あなたが参加したセミナー、設計したセミナーは如何?
【IDチェック項目】】
IDプロセスの分析・設計部分から、企画書の良し悪しを見るために使えそうであり、かつIDの初歩として知っておいてほしい部分を厳選したもの。
①学習目標設定の意図が明確・適切か
②学習目標が明確か
③対象者の前提条件が明確か
④コンテキストを踏まえているか
⑤学習すべき事項がもれなく抽出されているか
⑥学習した成果を判定する方法が示されているか
⑦学習していく順番が妥当か
⑧学習必要時間は妥当な長さか
⑨学習すべき事項に適した学習活動が選択されているか
セミナーのプログラム設計は我流で学習し、実践してきました。そして、あながち的外れではなかったことを確認できましたので、これまでのクライアントさまに失礼がなかったと、ひと安心。堤さんによれば、ちゃんとやっていれば、自然にインストラクショナルデザインの理にかなう設計になるものだとか。おかげさまで、ちゃんとやってきたらしいです。
なお、IDや学習に関わる理論のサマライズがあったので、リストを創ってみました。次のとおりです。
*ADDIEモデル (鈴木ら 2007)
*コンテキスト分析 (ディックら 2004)
*ARCSモデル (ケラーら 1983)
*成人学習理論 (リー&オーエンズ 2003)
*カークパトリックの4段階評価 (カークパトリック 1975)
*研修目的に応じた研修手段の効果 (Piskurich 2006)
*教授手法の選択肢 (Reigeruth 1999)
*ガニェの9教授事象 (ガニェ)
*キャロルの時間モデル
理論を知ることは大切ですが、理論を実践へ適用していくことはもっと大切。知ってしまったからには、知らないふりはできません。明日からまた、あれこれと試行錯誤の日々を続けていくことになりそうです。
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Tags: ID, セミナー インストラクショナルデザイン, 教育工学