♪ 昭和20年 暑い8月の朝・・・で始まる合唱曲 レクイエム「碑」を歌った高校1年生の夏。
それからずっと、広島と長崎の惨い夏を悼み続けてきました。平成に入ってやっと、広島平和記念資料館を訪れた時には、遺品を直視することができませんでした。
申し訳ないと思いながらも、再び記念館に入る勇気がまだありません。
一瞬のうちに消え去ってしまわれた方々、ひどい熱傷に苦しみながら亡くなった方々。さらに、外傷があってもなくても後遺症を抱えて生き残った方々。
そうした方々と家族の方々の痛みと無念が、記念館に展示された品々から立ち上ってきて、胸が苦しくなるのです。
昨日5日は、政府が原爆症認定訴訟原告の救済案を決定しました。
国は全国における裁判で19連敗をし続けながら、勝訴した方々の認定を行いませんでした。昨日の決定では、勝訴した原告について控訴を取り下げ、原爆症と認定することを決めました。
一方で、敗訴した方々については議員立法で被爆者のための基金を創設して、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が基金を運用することにしました。
これに対して、敗訴被爆者の山口初江さん(72)は「お金の問題じゃない。病気を『原爆のせい』と認めてほしいだけなのに(毎日新聞 記事より)」と憤っていらっしゃいます。
多少の前進はみたものの、被爆者の思いが十分に通じているわけではないようです。来る衆議院選挙に備えた、国民懐柔のための決定でないことを祈ります。
広島市長による本年の平和宣言は「2020年までの核兵器廃絶運動の旗手として世界をリードすべき」という方針を示す力強いものでした。
そして、核兵器廃絶を願う大多数を「オバマジョリティー」と呼び、「力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます」という決意が述べられました。
「オバマジョリティ」とは、本年4月、プラハにおいて米国大統領オバマ氏による「廃絶されることにしか意味のない兵器」との発言を支持する大多数の市民、国民という意味とのこと。
下記が、『広島平和記念資料館』サイトに掲載された2009年度平和宣言テキスト版の抜粋です。
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今年4月には米国のオバマ大統領がプラハで、「核兵器を使った唯一の国として」、「核兵器のない世界」実現のために努力する「道義的責任」があることを明言しました。
核兵器の廃絶は、被爆者のみならず世界の大多数の市民並びに国々の声であり、その声にオバマ大統領が耳を傾けたことは、「廃絶されることにし か意味のない核兵器」の位置付けを確固たるものにしました。
それに応(こた) えて私たちには、オバマ大統領を支持し、核兵器廃絶のために活動する責任があります。この点を強調するため、世界の多数派である私たち自身を「オバマジョ リティー」と呼び、力を合せて2020年までに核兵器の廃絶を実現しようと世界に呼び掛けます。
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昭和4年生まれの母は戦時中の体験を今でも、よく語ります。
空襲の爆風で絶命した牛の遺骸の様子、機銃掃射に襲われて命拾いをした日の恐怖、買い出しの食糧を没収されてしまった名鉄三河線の車中、特攻隊に志願し生き残った友人の変貌・・・。
戦争のない平和な社会を願って、私もオバマジョリティとして反戦の言霊を発し続けたいと決意を新たにした64年目の広島原爆記念日でした。
合掌
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