『遠野物語』発刊100周年の記念イベントが
静かに繰り広げられている岩手県 遠野に出張いたしました
遠野駅に降り立つと、古いおひなさまのお出迎え…
毎年開催されている遠野町屋のひなまつりも今年は
記念イベントのひとつとして、開催されています
城下町遠野の町家で、代々大切に受け継がれてきた
おひなさまを、2/25(金)~3/3(木)
遠野駅周辺の商店街を中心に一般公開します
3/4(金)には親水公園で、流しひなも行われます
仕事が終わって、宿泊先の たかむろ水光園へ
こちらは、水と光を活用したローカル省エネルギー施設です
園内には、3人の天女が泊まったという夢見堂やら、酒蔵やら
素敵な施設がありますが、夜の到着、早朝の出発に加えて
庭園が雪におおわれていて、見学はかないませんでした
夕食では、生まれてはじめて!
語り部さんのナラティブ(物語文学かつ語り口)を味わいました
遠野のことばは聞き取れなくて、細かいところは分かりませんでした
けれども、語り部さんの身ぶり、手ぶりをまじえた”行間”から
物語のストーリーもエッセンスも十分に伝わってきました
4つの物語が語られ、最初に語られた「おしら様」伝説に心が動きました
人の心の”元型”を表しているような、ゾクゾクする世界…
おしら様とは、東北地方で信仰されている神様のことで
蚕の神様、馬の神様、農業の神様といわれています
ご神体は30センチくらいの桑の木の先に、男女の顔や馬の顔を彫って
布を多数重ねて着せて、普段は、神棚や床の間にまつっているそうです
おしら様が神様になったいきさつは、語り部さんによると次のとおりです
むかしむかし、美しい娘と馬が恋に落ちました
これをはばむために、娘の父親は馬を桑の木につるして殺し
首を切り落として、皮をはいでしまいます
娘が遺体にすがって泣いていると、不思議や不思議
馬の皮が娘をくるんで、天へとのぼっていきました
やがて、娘は親子孝行をし残したと言って、父母の夢枕に立ち
あるお告げを遺します
それは、3/15、馬の顔をした虫が表れるので
馬をつるした桑の木の葉を与え育て、糸をつむぎなさいというものでした
3/15、お告げどおりに納屋のウスの中に、たくさんの虫がわいています
桑の葉を与えると、さなぎへと育ち、マユ玉から絹糸をつむいで売って
父母はお金持ちになりました。。。どんとはれ
というのが、語り部さんが語ってくれた、おしら様のナラティブです
口承ですので、語る人によって、少しづつ物語は違うようです
おしら様伝説は、養蚕のはじまりを伝えると言われています
出張をご一緒した国学院大学の小松光一先生によると
縄文文化と弥生文化の融合を表しているそうです
縄文時代には、人も動物と結婚するほど「自由だった」とか
弥生になると、人はあれこれを道具を使うようになり
衣類も普及して、動物との交わりはなくなったというのです
なるほど…
ともあれ、私の父の母方はタネやさん(蚕の養殖業)
母の実家は糸やさん(絹の製糸業)
私は現在、アパレルブランドの立ち上げ準備の最中で
おしら様伝説との出会いに、いろいろな意味で、ぞくぞくです
翌朝、遠野伝承園を訪ねたら、御蚕神(おしら)堂に
千体を超えるおしら様!
思わず、アパレルブランドの成功を祈願してしまいました
2010年4月24日(土)、おそらくは『遠野物語』発刊100年を機に
リニューアルされた遠野市立美術館にも立ち寄りました
1/15(土)~3/13(日)まで、第59回特別として
「遠野、この郷の記憶 ~写真家・浦田穂一の世界~」が開催中でした
遠野に移り住んで、遠野を撮り続けた写真家 浦田穂一さん
昭和40~50年代の遠野の暮らし…
厳しい自然に立ち向かうのではなく、折り合うように
季節を見つめながら、祈りながら暮らす人々の
丁寧な生き方、暮らし方に、胸が熱くなりました
自殺者が3万人を超えるようになって、ついに連続13年
自ら命を絶つ方の数では、岩手県が全国で最多とか…
意外なことに、積雪の少ない遠野ですが
今年は、数十年ぶりの大雪です
車窓から見える一面の雪景色に
東北の冬の厳しさを垣間見る想いでした
自然を祀り、祈る暮らしに後ろ髪をひかれながら
祈りに頼らない街へ戻ってきた私…
日本人のナラティブは、いったい、どちらへと続くのでしょう
Tags: 『遠野物語』発刊100周年, おしら様, 柳田國男, 遠野物語, 遠野私立博物館
2011年、西濃運輸硬式野球部が伝統ある同部の存続をかけて
2/7から和歌山県で、2週間の合宿練習に入るそうです。
存続をかけて…と言いますのは、創業家の先代自らが創部した同部は
社会人野球の最高峰、都市対抗野球大会にも31回の出場を誇る名門!
ところが、一昨年、昨年は東海地区予選で敗退が続いていて
万一、本年も出場を逃し、3年連続で敗退したら休廃部なるかもしれない
…という瀬戸際にたっているのです(詳しくはこちら)。
野球部部長で、セイノー・ホールディングス社長の
田口義隆さんによると、3年連続で…という背景には
創業者とのお約束があるそうです。
同部はお父さまで前社長の利夫氏が
全国にまたがる事業所で働く社員さんの気持ちを
ひとつにするために、創部されたとのこと。
創部にあたり、おじい様である創業者の利八氏が
条件をつけました。
「3年で全国大会に出場できなければ
廃部にすること!」
おじい様は明治生まれで、120キロの巨漢だったそうです。
大きすぎて、体にあう軍服がなくて、後方支援部隊に配属され
軍の物流メンバーとして、トラックで中国の原野を走り回られた経験が
運輸会社創業のキャリアへとつながったとのこと。
なんだか、感動的…
キャリアの専門家として、壮大なキャリア物語に胸が打たれます。
下呂から大垣へ本社を移転されたのも、おじいさまの先見の明
大垣は平野で水があって、人が行き交う土地だったから…とか。
そんなおじい様ですものね。。。
厳しい条件つきで、西濃運輸野球部は1960年に発足。
そして、1962年、都市対抗野球大会への初出場をはたしました。
創業者との約束どおり、3年目の快挙です。
以来、同部は都市対抗への出場と優勝をめざしていて
過去にも、3年連続で出場を逃して、休部となったことがあります。
そんなわけで、2年連続敗退に続く今年は正念場…
創業者一族である田口さん自ら、野球部部長に就任されました。
去る1/11には、大垣の野球場前の成田山に詣でて
熱い!必勝祈願もされたようです。
田口さんに亡きお父さまの遺志を継ぎたい想いがおありなのかどうか…
いずれにしても、ご本人が意識していても、していないくても
お父さまが願った社中一丸の精神はきっと、社員さんたちに届きそう!
申し訳なくも、野球というスポーツそのものにはあまり関心がないものの
野球を応援するという活動は、子供の頃からいまも大好きです。
私の亡父は若い頃、東京での営業先開拓を任されて、三河から上京
営業の苦労を重ねていた昭和40年代は、ジャイアンツの全盛期でした。
父はジャイアンツの連勝を励みに、飛び込み営業を続けていたかもしれません。
(ドラゴンズファンの田口さん、ごめんなさい!)
そんな父に連れられて、ごくまれに訪れた後楽園の記憶は楽しい思い出です。
だから、野球の応援は今でも大好き!
今年は、田口さんのお父さま、亡き愚父の魂と一緒に
西濃運輸野硬式球部を応援します!
都市対抗出場! のみならず優勝をめざしてまいりましょう!
社外後援会、創ろうかしら!
皆さんもご一緒にいかがですか?
Tags: カンガルー便, セイノーホールディングス, 社会人野球チーム, 西濃運輸硬式野球部, 都市対抗野球大会
働く女性のためのビジネスカジュアルウェアの提案ブランド
Pr.sonoma の立ち上げがいよいよ始まりました。
子供の頃に「なりかった職業は?」と聞かれたら
間違いなく、ファッションデザイナー!
今からファッションデザイナーというのは、ハードルが高いけれども
専門家のスキル、ノウハウをお借りしてのプロデュースであれば
なんとか、自社ブランドを立ち上げられそうと思いついた…
というエピソードは、12/17記事でご紹介したとおりです。
※記事はこちら「JATTSで創る夢の王国」
元祖 高原シャツのフレックスジャパンさんのご協力で
30年を越えるワークライフをとおして、培ってきたシャツへの想い
ワークローブへの想いを形にしていきます。
試作品の製作と販売チャネルとなるサイト構築からスタートする予定。
立ち上げのプロセスは本ブログなどでご紹介いたします。
詳しくは、ブログ「キャリアカウンセラー養成講座」の記事
「シャツからはじまるストーリー ~採用面接を成功する選び方~」で!
「がんばったことを褒めて欲しかったら、普通の女の子でいなさい」
APEXアイドルオーディション2010の最終選考者24人の強化合宿で
トレーナー(講師)が、トレー二ー(アイドルの卵)たちを叱咤した言葉です。
プロフェッショナルに成ること、在ることの厳しさが伝わる名言かと思います。
アイドルとして生き残っていくほどの厳しさではないかもしれませんが
人づくりのプロとして働いてきた20数年で、天才になりたいと何度も思いました。
小学生の頃から、私はそれなりに努力をして、成績を維持していた一方で
勉強をそれほどしなくても成績のよい同級生がいる…。
それがずっとうらやましくて、私にとっては、天才とは才能にめぐまれていて
多くの努力をせずに、偉業を成し遂げられる人にほかならなかったのです。
だから、努力しても報われず、放り出してしまいたいと歯を食いしばる度に
努力をしなくても、結果を出せる天才になりたい、と何度も願いました。
それなのに、最近は時々、天才と呼ばれることも多くなり、面映ゆい気分です。
新将命さんの伝説の外資トップが説く リーダーの教科書
(P37~38)には、こんな風に書かれています。
<抜粋して要約>
方法さえ間違えなければ、必ず実力はプラスされ、「実力線」は必ず上昇する。
だが、なかなか上達しないと感じるのは、「認識線」があがっていないからだ。
力がついたと認識するまでには、タイムラグがあり、平均的には六ヶ月である。
上がらないと嘆きながらもがんばると、タクシーのメーターがカチャッと
音をたててあがるように、認識線があがあるのだ。
この繰り返しで、やがて本当の実力は上がっていくのである。
だが、認識線が上がる前に、実力が上がらないとあきらめてしまう人が少なくない。
これでは、せっかく上がった実力線が、また無惨にも下がり、元に戻ってしまう。
実力線と認識線を思い出して、あきらめるべきではないのだ。
(抜粋要約終わり)
武田ランダムハウスジャパン
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努力こそが天才を創るのですね。
あきらめないで努力をしたこと、あきらめて努力を止めてしまったこと
いろいろと思い出しながら、あきらめなかったことがいま、花開いて
面映ゆくも、「天才」とほめられるようにもなれたのかも、と…。
とはいえ「がんばったことを褒めて欲しかったら、普通の女の子でいなさい」です。
努力は必要ですが、最終的に結果を出さなければプロフェショナルとは言えません。
人づくりのプロとして、さらなる結果を残すことにフォーカスしなければ!
伝説の外資トップが説く リーダーの教科書
(P17~P19)には、こんな言葉もあります。
<抜粋して要約>
競争が厳しくなっていくことをふまえると、「結果」が7割
残り3割は、プロセスおよび定性的な要因である。
チームワークはどうか、人を育てているか、人望があるか…
いずれにしても、意識すべきは結果とプロセスのバランスである。
もちろん、結果は重要だ。だか、最後に判断を大きく左右したのは
人間性であり、人格だった。リーダーは結果を求められるからこそ
結果を出すための前提を心得ておく必要があるのである。
(抜粋要約終わり)
2011年1月8日(土)~9日(日)開催の弊社プロ講師養成スクール主催
結果を出したい人のリーダー力を磨くセミナー<LSTP AA版>
リーダーシップ・スキル・トレニーング・プログラムを集大成し
人づくりのプロとして、ひと回り大きなリーダーへと育つ場を築きあげます!
<LSTP AA版>をとおして、結果を出せる魅力あるリーダーたちが
はばたいていく姿を見続けていこうと誓った仕事はじめです。
本年も、走る喜びを味わいます。
Tags: プロ講師養成スクール, リーダー, リーダーシップ, リーダーシップ・スキル・トレーニング, LSTP
あけまして、おめでとうございます
新しい年をいかが、お迎えでしょうか
年末にプライベートでちょっとした事件があり
新年もその後遺症が残っていて、決して快適とはいえないお正月です
将来を思い、あれこれの仕掛けをしている最中ですが
そのために、2010年はこれまでにもまして、怒涛のような年でした
そのひずみが、浮き出してきている感じです
思えば、2008年にプロ講師養成スクールを開校し
ワークスタイルを変えるために、様々なトライアルを続ける中
公私ともに、時間的にも体力的にも精神的にも
2010年は、自分の限界と向き合う1年でした
プチうつ宣言をして、たくさんの方から温かいメッセージをいただき
大げさな宣言を反省したり、感謝をしたりしたこともありました
そして、はりつめた毎日のピークを迎えた年末
海外出張中の友人から届いた1通のメールがきっかけで
村上春樹訳「ティファニーで朝食」をひもとくところとなり
ゆとりも遊びも失った心に、爽やかな風が吹き抜けました
いい年をして、青い鳥を探していたなんて…
ファンタジーの人生ではなく、自然体の人生を生きていこうと
小さな決意をした2010年の年の瀬でした
そして、2011年は本当に大切なことを見極めながら
本当に大切なことを丁寧にやり遂げていくつもりです
小学生の時に憧れた、ファションデザイナーになるという夢
デザインはできませんものの、プロデュースに挑戦します
すべては夢からはじまる…
本年もご一緒に、夢づくり、人づくり!
組織と個人の夢の実現、共生のために歩んでまいります
本年も宜しくお願い致します
昨年来のテーマである「伝説のセミナー」のプロデュース…
2011年はさらに、育成者、指導者の皆さまとご一緒に
リーダーとしての在り方を探る「伝説のセミナー」の発掘、開講に努めます
まずは、年明け1/8(土)~9(土)
恩師 故岡野嘉宏先生(社会産業教育研究所)の伝説の研修プログラム!
4日間から2日間に短縮してのリニューアル・リリースです
結果を出したい人のリーダー力を磨くセミナー <LSTP AA版>
そして、1/20(水)を皮切りに、1月から3月までの3回
中部経済新聞社さんとの共催によるセミナーをプロデュースいたしました
自己診断ツールの活用事例を体験するセミナー
中経リーダーズ・セミナーとしての開催です
自己診断ツールをとおして、リーダー、指導者としての
ご自身の特徴や強み弱みをふりかえる機会にもち
必要に応じて、リーダーとしてのキャリアを描きかえたり
描き足したりしてみませんか
第1回(1/20) 行動特性を活かして、業績をあげる(DiSC)
第2回(2/15) 感情能力を磨いて、部下を動かす(感情能力)
第3回(3/17) 意志の力を鍛えて、変革を促す(ウィルグラム)
各回とも、13:30~18:30(終了後の名刺交換含む)
会場は、名古屋駅前ウィンクあいちの予定です
会費は、一般9,000円、中部経済新聞読者6,000円
※詳しくは、プロ講師養成スクール「お知らせ」のページから
※第1回については、中経リーダーズ・セミナー公式サイトから
※お申込みも、中経リーダーズ・セミナー公式サイトから
たくさんの育成者、指導者の皆さまとご縁をいただけますことを
心から楽しみにしております
Tags: DiSC, LSTP, willgram ウィルグラム, プロ講師養成スクール, リーダーシップ, 岡野嘉宏, 感情能力, 社会産業教育研究所
2010年、今年がまもなく終わります
ゆく年をふりかえりながら、「ノルウェイの森」の村上春樹さん訳の
トルーマン・カポーティ原作「ティファニーで朝食を」を読んでいます
というのも、このクリスマスに
海外出張中の友人からメールが届いたのです
クリスマスの夜更けにロンドンに到着し、数日の滞在の後
大西洋を越えて、ニューヨーク(N.Y.)へ渡るのだとか…
ロンドン-ニューヨーク便の機中では
映画「ティファニーで朝食を」を鑑る予定、と締めくくられていました
心が騒ぎました
「ティファニーで朝食を」はもしかしたら、私にとって
人生のモティーフともいえる作品だからです
折しも、この12月15日、映画「ティファニーで朝食を」を監督した
ブレイク・エドワーズさんがサンタモニカの病院で亡くなったばかりです
「ピンク・パンサー」でも知られるエドワーズさんは享年88歳
妻のジュリー・アンドリュースさんが看取られたそうです
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この映画をはじめて観たのは、たぶん17歳の年
主人公ホリデー・ゴライトリー(通称ホリー)はほぼ19歳の
いわゆる娼婦でしたが、映画では、ヘップバーンのイメージに併せて
社交界でもてもての新人女優、という設定が強調されています
ヘップバーンによる役作りも、原作よりもキュートだと思います
原作者カポーティは、マリリン・モンローを主人公にすることを望みました
けれども、娼婦役を演じることを嫌ったモンローが出演を断り
ヘップバーンが選ばれたわですが、このキャスティングはむしろ
娯楽文化である映画にとって、成功の要因になったと思えます
ともあれ、原作よりもマイルドな役作りのホリーでしたが
当時、箱入り娘だった高校生の私の目には
十分に自由奔放でセクシーで、驚きとともに羨ましくもあり
憧れのライフスタイルとして、強いイメージが刷り込まれました
ティファニー宝石店のファンになったのもこの時から・・・
宝飾品にはそれほど興味がない今も、自由とロマンの象徴である
ティファニーのジュエリーは、お守りのようにつねに身につけています
大学に入学して、親元を離れて、環境的にも精神的にも
自由を楽しめるようになった頃
トルーマン・カポーティの原作を読み直しました
とても複雑な気持ちになりました
映画は、ヘップバーンとジョージ・ペパードの恋物語に
「変換」されましたが、原作は立派な社会派小説であると理解しました
資本主義へのカポーティ流のレジスタンスとも評されているし
戦後アメリカの繁栄とその影に揺らぐ、大衆のストレスとカタルシスが
行間に渦巻いているような、軽妙にして重たい小説です
誤訳だらけと酷評される旧訳…
にもかかわらず、原作の深さに心動されながらも、特に小説の結末と
映画の結末とのあまりの違いに、動揺にも似た葛藤がおこりました
二十歳前の少女にとっては、”白馬の王子さまがやってくる”ような
映画の結末には、それなりのスィートさと安心感があるものです
一方、小説の結末は、かなり特異な展開にもかかわらず
映画よりもうんとリアリティがありました
映画のスウィートなハッピーエンドと原作のリアリティの間で
若い日の私は揺らぎました
やがて、あれはあれ、これはこれ
別の作品と割り切れる年齢を迎え、それぞれに楽しめるようになりました
そして、2008年に「ノルウェイの森」の村上春樹さんが新訳を出され
話題になったものの、忙しさに紛れ、まだ読んでいませんでした
積ん読いた村上本を開くきっかけを作ってくれたのが
N.Y.出張中の友人からの1通のメールであったのは
主人公ホリーと、10日ほど前に亡くなったエドワーズ監督の
はからいのような気がしてなりません
そして、新訳「ティファニーで朝食を」を再読してみて
原作も映画も人が言うほど、違う物語ではないことに気づきました
つまり、どちらも居場所探しの物語であるということ
ヘップバーン扮するホリーがギターを弾きながら
「ムーンリバー」を歌うシーンは映画版の見どころです
その歌声は、ホリーの夢と孤独を表現するかのように
頼りなくて、せつなくて、心にささります
原作のホリーはいつまでも理想の居場所を探して、さすらい続け
映画のホリーは日常での居場所を(とりあえず)見つけて、落ち着いた
…という筋書きの小さな違いにすぎません
そして、少女の頃に出会った、居場所を探し続けるホリーと重なる人生を
これまで、生き続けてきたような気もしてきました
ホリーの名刺の住所が「Traveling(旅行中)」であることにあやかって
「悠木そのま Traveling」という名刺を作ったこともあります
さすがに、その名刺をティファニー宝石店で作るというところまでは
真似をしませんでしたが、我ながら笑い話です
いずれにしても、1通のメールが機となって
村上春樹訳「ティファニーで朝食を」と出会い
映画と原作、2人のホリー・ゴライトリーに訣別して
ほかの誰でもない、自分自身を生きてみたくなりました
居場所は探すのではなく、創るもの
さすらうこともなく、日常に落ち着くこともなく
自分を偽らず、でも、大切な人たちと共生して生きることの
難しさから逃げずに向き合っていこうと、小さく決意しました
人生のモティーフを見直すきっかけを、クリスマスの夜に
プレゼントしてくれた友人はまもなく、お正月の日付変更線を越えて
ティファニー宝石店のあるN.Y.から帰ってきます
大切な友だちの、無事な帰国を心から祈る年の瀬です
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Tags: ティファニーで朝食を, トルーマン・カポーティ, 村上春樹
2010年がまもなく幕をおろします
そして、2010年は私にとって、新しい幕開けの年となりました
働く女性として生きてきて、働く女性がもっと自由に働くことを応援するような
ビジネスカジュアルウェアの世界を創りたい…いう夢が生まれたのです
その第1歩ともいえる「作品」が仕上がりました
JATTS、Pr.sonoma仕様の第一作目です
「JATTS(ジャッツ)」とは、
シャツ素材で作る新感覚のジャケット
高原シャツのフレックスジャパンさんが
メンズのクールビズ商品として開発されました
私もメンズの生地見本から生地を選び
生地のテクスチャーやムードに合わせて
ボタンを探してもらい、やっと仕上がった作品です
事の起こりは今年の春…
友人のシャツ屋さん フレックスジャパンの社長から
銀座の百貨店でレディースのJATTSを期間販売するので
仕立ててみてもらえないか、と頼まれたのです
残念なことに、期間中には銀座に出かけられず
JATTSを仕立てることはできませんでしたが
今夏、レィデースJATTSの展開を担当されている女性が
弊社のセミナーに参加され、仕立てを引き受けてくれました
仕上がったジャッツが手元に届いたのは8月下旬
とても軽くて、腕や肩の動きが自由です
仕事がらスーツを手放せませんが、その重さと窮屈さに
いまだに慣れることができません
でも、JATTSなら肩こりからも解放されそう!
この快適さに思わず、欲張りな気持ちがむくむくと…
肩肘はらずに着られるJATTSを、働く女性たちに
どんどん着て欲しい!
さかのぼれば、加州に出張した折
現地のビジネスパーソンの装いには、本当に驚いたものです
週末でもないのに、仕事場ではビジネスカジュアル!
だからといって、だらしないわけではない
ビジネスの習慣も違いますし、太陽ぎらぎらの加州ですし
ビジネスカジュアルがすべてではないというのは
晩年に教えをいただいた石津健介先生の造語、 T.P.O.どおりです
とはいえ、日本でも、メディア関連の業界ではほぼビジネスカジュアル
個人的には、若い頃にコピーライターをしていた時期もあって
ビジネスカジュアルとは長いおつきあい…ともいえます
思えば、スーツではデスクワークにしろ、外出にしろ、動きにくい!
スーツはビジネスパーソンの作業着といわれるものの、とても作業には向きません
しかも、上着を着たまま、仕事をすれば、袖口が汚れるし
汗をかけば脇がベタベタ、長く座っているとベンツのあたりがくちゃくちゃ…
で、スーツの上着は、お客前に出るときを除いて、脱いで過ごす毎日です
もっと動きやすくて、汚れてもお手入れがしやすい装いこそ
ビジネスシーンにふさわしいはずで、スーツにこだわることはありません
もし、ビジネスカジュアルウェアがビジネスシーンの日常着として定着すれば
プレゼンやらオフィシャルなミーティングやらでの、いわゆる勝負服スタイルが
もっと際立つ気もします
ビジネスパーソンらしくて、気取らなくて、でも、品のよいビジネスカジュアル…
働く女性のためのそんなアイテムをあったら、私たちはもっと自由に働けそう!
ビジネスカジュアルで働く女性たちがあふれるオフィスを想像して、わくわくします
すべては夢からはじまる…
すべてはすでにはじまりました
ふと思い立った、あの8月の後、11月1日の誕生日をはさんで
生地を選び、ボタンを探してもらって、仕上がったパープルのJATTS…
嬉しくてたまらなくて、作品No.1の色合いと素材にあうパンツを
その日のうちに買いました
イメージコンサルティングをお願いしている
大森ひとみ先生にもお見せしたところ
生地の色、風合い、そして、ボタンも ほめていただきました
一方で、若い頃にニットのデザイナーをしていた母からは手厳しいコメントも…
好みの仕様にするために、いくつかの課題も見つかりましたが
とにかく、私にとってもは意味深い作品NO.1のJATTSです
働く女性のためのビジネスカジュアルを提案する
…という夢がよちよちと歩き始めました
次は、Pr.sonomaのタグのデザインに入ります
街はまもなく、クリスマス
新しい年は、新しいキャリアの予感でいっぱいです
PS.
レディースJATTSの店頭販売は春からとか…
その前に、どうしても手に入れたい方はこっそりと
こちら Pr.sonoma までお知らせください
Tags: JATTS ジャッツ, Pr.Sonoma, ビジネスカジュアル ウェア レディース
年々、会議や打ち合わせ、ミーティングの効率化が課題となり
ファシリテーション研修は、教育訓練の定番メニューとして定着しつつあります
ファシリテーションとは、直訳すると「促進」「促すこと」であり
研修のテーマとしてトレーニングされるファシリテーションとは
グループに対するコミュニケーションのスキルといえます
とある組織で、6年前から担当しているファシリテーション研修
今年も無事に、2日間コース×3回が修了いたしました
弊社アリーナアドヴァンスのファシリテーション研修は
ファシリテーションの基本スキルの訓練をとても大事にしています
聴くスキル
伝えるスキル
見える化するスキル
観る(診る)スキル
質問するスキル
この中で、もっとも基本といるのが「聴くスキル」
ファシリテーション研修を展開し始めた頃には
「聴くスキル」を基本スキルのひとつとして取り上げながらも
たった2日間、14時間という、研修の時間枠をふまえて
トレーニングの時間を十分にとっていませんでした
それは、「聴けているだろう」と考えていたからです
ところが・・・
研修を進めていくうちに、実は聴けている人が少ないと判明
聴けていないから、前の人の発言と無関係な発言が飛び出したり
質問がとんちんかんだったり、的外れな助言や提案が飛び交ったり・・・
これはまずいということで、プログラムを改定して
14時間のうち、約2時間を「正しく聴くトレーニング」にあてるようになりました
このトレーニングをいれたとたんに、会議を想定した演習での
相互のコミュニケーションが驚くほど改善して、びっくり!
ファシリテーションとは、グループに対するコミュニケーションのスキルです
したがって、コミュニケーションの基本スキルとしての「聴くスキル」が
不可欠なんですね
ファシリテーションの実務においては、質問もよく使いますし
質問集が書籍として出版されているほどです
とはいえ、よく聴けていなければ、よい質問もあり得ません
よい質問をするためにも、聴くスキルを磨くことが
ファシリテーションをうまく行うためのの基礎体力づくりといえるでしょう
Tags: ファシリテーション アリーナアドヴァンス 研修
愛知ダブル選挙に見る! 首長政党のリーダー力
2/6の愛知県知事選挙、名古屋市長選挙において
大村ひであき、河村たかしの両氏が圧勝で当選しました。
民主王国と呼ばれる愛知の民意を探る選挙としても注目され
結果は、民主党推薦の御薗慎一郎氏が大村氏の得票数の1/3以下
自民党推薦の重徳和彦氏の得票数を下回るという、民主惨敗でした。
大村氏は元自民党衆議院議員、河村氏は元民主党衆議院議員。
おふたりともがTVというメディアを武器に、知名度を高め
中央政党を離党をして、地域政党を設立し、地域から日本を変えると訴えて
今回選挙にのぞむ…という、キャリア戦略を展開してきました。
この度の圧勝は、おふたりのキャリア戦略=選挙戦略の勝利であり
既成政党の無力さに憂え、地域政党に多少の期待を抱き始めた
市民たち(citizens)の民意の結果といえるでしょう。
懸念されるのは、おふたりの公約が「減税」にあることです。
というのも、愛知県、名古屋市の財政の厳しさはひととおりではありません。
地元でNPOを主宰し、県政、市政に何かしら関わってきた者として
その厳しさは肌身で感じ続けています。
愛知県では行政改革委員会委員として、財政健全化への議論にも加わり
事業仕訳を含め、コスト削減の努力もそれなりに見てきました。
愛知県庁内には、行革疲れという言葉が生まれているほどです。
民間の感覚からは、「まだまだ甘い!」と言いたいところも多々ありますが
人づくりのプロという立場から、現在の風土、組織、コンピテンシーをふまえると
これが手綱の限界だろうと感じ、それなりの努力に敬意も払いました。
つまり、減税とセットとなるのはコストダウンと増収ですが
これ以上のコストダウンは、現場のさらなる疲弊と抵抗を招くリスクがあります。
そこで、増収政策に期待するのが、組織活性化の点からも妥当でしょう。
大村、河村両氏は、昨年11/13のasahi.com記事によると
「目指すはシンガポールとか上海とか(経済的に繁栄した都市だ)」
「県民税減税を絡めた経済振興策を打ち出す。『楽市楽座』だ」と語ったとのこと。
ものづくり企業がすでに構築しているアジアとのパイプをビバレッジにして
国際社会との流動性を促し、増収政策を打ち出すのでしょうか。
おふたりが選挙で掲げた政策は、十分に魅力的です。
特に「楽市楽座構想」には、増収政策としての効果を期待しています。
それは、新しい首長たちのリーダーシップへの期待でもあります。
私は政治的には中立、無党派ですし、政策にも疎いものの
市民(citizen)としてのみならず、人づくりの専門家として
県政、市政を見つめながら、仕組みだけでは人は動かない
人を動かしてこその政治、行政という現実に
新しいリーダーたちが、いかに取り組んでいくかを楽しみにしています。
行政に携わる人々も市民たち(citizens)も、現場はいま、疲れています。
一生懸命に働いても、報われない徒労感が広がっているからです。
そして、現状を打破するには、私利私欲の微塵もない
無私のリーダーが必要であると、人々は意識、無意識に気づき始めています。
『龍馬伝』『坂の上の雲』が愛されるのは、社会の意識の顕われだと思うのです。
煮詰まり具合でいえば沸点を越えている、言ってみれば危機的状況のもとで
フォロワーを鼓舞し、モティベーションを保ち、高めていくには
これまで以上に強く、温かいリーダーシップが不可欠です。
余談ではありますが、中央政党は与野党ともに政策以前に
リーダーが不在であることが問題、と思っています。
ですから、大村新知事が立ち上げた「日本一愛知の会」
河村新市長の「減税日本」が単なる地域政党、首長政党としてのみならず
日本のど真ん中の愛知から日本を変える、「平成の維新」を行うという
ヴィジョンの実現にあたっては、首長の「もっているもの」が問われるでしょう。
それは、首長としての無私の志であり
本物のリーダーとしての「リアリティ(実像)」です。
本日2/8の中日新聞朝刊には、次のような記事が掲載されました。
『蜜月「いつまで」 大村・河村流の行方(上)』という見出しです。
<これまでも多くの人間が河村に近づき、去っていた。
ブレーンの一人だった名古屋大大学院教授の後房雄は
政治手法をめぐる違いでたもとを分かち
民間出身から鳴り物入りで副市長に迎え入れた
大西聰(さとし)も7日、職を去った。
河村は最近、周囲にこう漏らした。
「大村も知事になったら離れていくのかなあ」>
自らが暮らす街、関わる街の首長になられたおふたりには
地域主権という挑戦がセクショナリズムに陥らないよう
地域内外つまり日本全体、国際社会全体との共生をめざされますよう
正義の秤を胸に、市井の人々への慈しみの目をもって
リーダーとしてのリアリティを発揮されるよう、願っています。
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