プロ講師養成スクールのセミナーを受講された方々のフォローアップと相互研鑚をめざして、1~2か月に1回程度、開催しているプロ講師養成スクール受講生自主研究会。
本日は、NLP(神経言語プログラム)の全体像と技法を学びたいという声に応えて、NPO法人キャリアデザインフォーラムとの共催で、サンタフェNLP発達心理協会認定トレーナー 梅本和比己先生をお招きし、NLP特別勉強会を開催いたしました。
日 時:2009年8月15日(土) 13:00~17:00
会 場:NPO法人キャリアデザインフォーラム 研修室
梅本先生は『苦手意識は捨てられる NLP脳トレーニング』の著者として知られています。お盆の最中にも関わらず、定員いっぱいの参加者が集い、NLPの基本的な概念と技法を学びました。
NLPとは天才セラピストたちの手法を体系的に整理した心理療法です。1970年代に、ジョン・グリンダー氏とチャールズ・バンドラー氏が研究を進め、構造化しました。心理療法としてのみならず、教育、福祉、セールスなどから日常生活における対人関係の手法として、注目を集めています。
いわゆる「流派」の違いもあり、様々なトレーナーがNLPの指導にあたっています。そこで、NLPを学びたい方々から、どのトレーナーに師事するのがよいのか・・・という問い合わせを受けることもあります。
トレーナーにはそれぞれ個性があり、それぞれに素晴らしい特徴がありますから、師事する際には、事前にトレーナーの著書を読んだり、1日程度の入門セミナーに参加して、ご自身の学習目的や好みに照らすことをお奨めします。
そうした調査をされることを前提に、私はあえて、梅本先生からNLPを学ばれることを強くお奨めしています。
梅本先生は人に対する愛情が深く、その人のもつ力、可能性を信じている方です。押しつけがましい親切は一切なさらず、クライエントが必要とする支援をクライエントの意思のもとに行う、という姿勢を崩されることはありません。
初めて梅本先生のセミナーを受けたプロ講師養成スクール受講生によれば、「NLPトレーナーというのでイケイケの講師を想像していたのに、物静かで、それらしくなくて驚いた」
NLPは、よく切れる刃物に例えられます。ですから、そのテクニックを何のために、どのように使うのかという、明確にして合理的な意図をもって使わなければなりません。梅本先生は、そうした使い方をするロールモデルとして尊敬できるトレーナーなのです。
11月から3月まで、名古屋でのプラクティショナーコースを開催されるそうです。名古屋をはじめとする中部地区に、梅本先生によるオーセンティックなNLPが普及することを心から願い、私も応援していく予定です。
———————————————————————————————–
【ご案内】
梅本和比己先生は、プロ講師養成スクールの「セミナーコミュニケーション」を担当しています。同スクール受講生および犬塚尚美メールニュース読者については、NLPプラクティショナー コア(名古屋開催)を旧価格でご参加いただけます。
※コースの詳細はこちらから
※旧価格でのお申し込み・お問い合わせはこちらから
新価格 346,500円(資料代・消費税・認定料込)
旧価格 325,500円(資料代・消費税・認定料込)
※旧価格でのお申し込み・お問い合わせはこちらから。
※お申し込みでは、セミナー名を「NLP 名古屋」とご記入ください。
※メールニュース登録のお申し込みもこちらから受け付けております。
※登録のお申し込みと同時に、旧価格でのお申し込みもできます。
Tags: NLP 梅本和比己 サンタフェNLP, プロ講師養成, プロ講師養成スクール
「BCB(TA+NLP)による よりよい人間関係入門セミナー」を、チーム医療さんとの共催で開催いたしました。
BCBは米国デンバー在住の国際TA協会教授のエイブ・ワグナー先生によって開発された、よりよいコミュニケーションの方法を体系的に学ぶプログラムです。
BCB・1日コースは、中部地区の皆さまにもご紹介したいという、BCBファシリテーター 梅本和比己先生(チーム医療 代表取締役社長)の強い想いによって実現いたしました。
梅本先生は著書『苦手意識は捨てられる』でも知られ、サンタフェNLP認定トレーナー、ICC認定国際コーチとしても活躍されています。たくさんのケースを扱ってきた梅本先生ならでは、デモンストレーションを交えながらのセミナーとなりました。
アンケートを拝見したところ、これまでのコミュニケーションの仕方を少し変えるだけで、よりよい人間関係に築いていけることに気づいた・・・というお声をたくさんいただきました。
よりよい人生にはよりよい人間関係が欠かせません。これからも、梅本先生たちとご一緒によりよい人間関係を築きためのテクニックを様々な視点から、ご紹介していく予定です。
来週土曜日は、BCBにも取り入れられているNLPを学ぶ「NLP特別勉強会」。弊社プロ講師養成スクール受講生自主研究会とNPO法人キャリアデザインフォーラムが共催し、再び梅本先生をお招きします。
Tags: コミュニケーション BCB TA NLP
岡野嘉宏先生は私の偉大なロールモデルです。20年ほど前に初めてお目にかかり、師として仰いできました。一昨年2007年夏の沖縄のワークショップ中に倒れられ、9月2日に亡くなりました。この秋は、もう三回忌です。
先生は素晴らしい研修プログラムを数々、残しておられ、その中でも多くのビジネスパーソンにご紹介したいと願っていた「リーダーシップ・スキル・トレーニング・プログラム」、略称「LSTP」。未亡人のご許可を得て、4日間コースを2日間に圧縮して実施いたしました。
1970年代から、多くの上場企業で実施されてきた幻の名研修です。先生亡き後、これを何かしらの形で引き継ぎたいと願い続けたところ、亡き師が引き合わせてくれた姉弟子が助けてくれることになり、実現への道がつながりました。
10年来のクライアントさまと入念な打ち合わせを重ね、姉弟子を助っ人に迎え、幕を開けた8/1 AM9:00。4日間を圧縮していることもあり、時計とにらめっこしながらの2日間でした。
途中、受講者間に消化不良とストレスが見受けられ、この時点では最終章の大きなワークでの混乱が懸念されたにも関わらず、8/2 PM6:00、受講者、主催者、講師陣それそれが達成感、充実感に満たされる中、無事に幕を引くことできました。
受講者の潜在能力、クライアントご担当者さまのバックアップ、姉弟子の技量、サポート講師たちの気配りがあいまっての成果でした。
何よりも、岡野先生のプログラムの底力。プログラムをとおして、岡野先生が生き続けていることを実感し、感無量でした。
人は自ら気づいてこそ、変化し、成長する。だから、育成者は教えるのではなく、気づきの場をセットアップするのが仕事なのだという、岡野先生の育成の精神を再確認した2日間でした。先生のDNAを引き継いでいけるかもしれないという、小さな矜持を確認した2日間でもありました。
亡くなってなお、私を導いてくださる先生が住まう天国に届くよう、たくさんの「ありがとうございます」をつぶやいている本日です。
———————
天国の岡野先生
先生の手書きのタイムスケジュール表、久しぶりに拝見して驚きました。
誰に教わったのかしたら・・・と思っていた、模造紙に書く時の私の文字。
先生の書体に瓜二つです。いつのまにかモデリングしていたのですね。
文字ばかりでなく、先生の育成の精神をこれからもモデリングしていきます。
これからも、天の声によるご指導を宜しくお願いいたします。
そのま
弊社プロ講師養成スクールにて、「講師のためのキャリアデザイン」を目標とするベーシックコースを開催いたしました。
セミナータイトル:プロ講師養成スクール ベーシックコース第3回
講 師:人材開発プロヂューサー 犬塚尚美
日 時:2009年7月18(土)~19(日) 各10:00~19:00
会 場:ダイテックサカエ会議室6階 6C
プロ講師養成スクールは、育てる哲学とスキルをもつ講師を育成するために開校した私塾です。
プロ講師養成スクールでは、「促育」の精神をとても大切に考えています。促育とは福沢諭吉先生の造語であり、「促し育てる」という、福沢先生の人材育成の姿勢を表わす言葉です。
私は2002年からキャリアカウンセラーの養成を任されることとなり、カウンセラーを目指す人や教えることを目指す人が、とても親切な人たちであることを知りました。そして、親切であるがために、学習者の学習を妨げることもあることも知りました。
過去の流行語を使って平たくいうと、「小さな親切、大きなお世話」。
「小さな親切、大きなお世話」の中には、本人が「大きなお世話」と感じたとしても、行うべき世話もあります。その一方で、確かに「大きなお世話」であり、行わないほうがよい世話もあります。
カウンセラーや教える人は、クライエントや学習者が自律するための支援を行うことを宗利、その成長を妨げるような世話をやいてはならないはずです。残念ながら、実態は「大きなお世話」が少なくはありません。これは自戒を含めての私見です。
交流分析やTAを学ぶと、「ディスカウント(値引き)」という概念が登場します。
ディスカウントとは『現実、他者、自分自身の状況の、ある様相を無視したり軽視したりするような心の中のからくりや、その具体的なあらわれとしての行動(1977,岡野嘉宏)』です。
他者の価値や能力をディスカウント(値引き)しているために、余計なお世話をやいたり、場合によっては見捨てたりするような傾向は誰にでもあります。誰にでもありますが、講師という立場にある者がこうした傾向を強くもっているのは問題です。
プロ講師養成スクールでは、自ら学ぼうとする人たちが求める知識やノウハウを提供しつつも、学習者たちが自ら学習することを促せる講師の育成をめざしています。
人が人として健康に生き、自分らしい人生を築いていくためには、自ら学び、自ら育っていくことが不可欠です。ですから、プロフェッショナルな講師は必要に応じて、知識やノウハウを教えるとしても、その支援の本質は「促育」からぶれてはなりません。
促育の実践は、人を深く信じるところにしか起こりえず、私自身、促育の実践について試行錯誤の途中です。
教育をビジネスとして行っていると、短期の教育成果も求められます。主催者の評価や受講者アンケートを意識して、ついつい余計なお世話を焼いて、達成感という案直な満足感を与えてしまったり、将来学習者自らが見つければよい答えを教えてしまったり・・・。
プロ講師養成スクール受講生の皆さんとともに、私自身も修行を重ねる毎日です。
Tags: プロ講師 講師養成
「平成21年度第1回ヤング・ジョブ・あいち運営協議会」が開催され、委員として参加いたました。
日時:7/13(月)13:30~15:30
会場:中日ビル会議室
ヤング・ジョブ・あいちは愛知県と愛知労働局が中心となって運営している40歳未満の若年者の就職総合支援施設です。かつては35歳未満を対象としていましたが、40歳未満までに対象を拡大し、ニート・フリーター化の歯止めにも貢献しています。
愛知県では16万人が仕事を探している!
求職者1人に対する求人数を示す、5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.44倍で、前月を0.02ポイント下回り、1963年の調査開始以来最低となりました(6/30 厚生労働省発表)。すでに4月には過去最低に並び、今月で12カ月連続の倍率悪化を記録しました。
ヤング・ジョブ・あいち運営協議会でも、「ハローワーク中」の担当者から、次のような報告がありました。
●愛知県の有効求人倍率は0.49倍で、前月0.52倍を0.03ポイントを下回った。
●これは先月と引き続き、全国でワースト1の数値である。
●新規求人倍率は4月の0.82倍から5月0.91倍へ、0.09ポイント上昇した。
●愛知県の若年者雇用指標をみると、有効求人倍率は全国値を上回っている。
●完全失業率、新卒者就職後3年間の離職率は全国値を下回っている。
4月の有効求人倍率は0.52倍で過去最低の0.53倍 を下回り、5月はこれをさらに更新、求職者2人に対して仕事は1つ以下という厳しい状況が続いています。
一方で、新規求人倍率は微小 ながら上昇し、全国との比較では厳しさが薄まる印象です。エコカー減税によるプリウス人気によってトヨタ自動車の業績が回復して、地域の景気回復の機動力になるのを祈りたい・・・というのが、関係者の気持ちでしょうか。
とはいえ、16万人近い人たちが愛知県下で仕事を探しています(2009年5月 月間有効求職者数157,254人)。昨年5月の89,155人と比べると、その深刻さが分かります。
新卒採用という雇用習慣を見直そう!
ヤング・ジョブ・あいちは若年者の就職支援を行う総合施設であり、若年者の雇用指標の改善をめざす行政施設ともいえます。こうした協議会への提案としては不適切かと懸念しながらも、私は次のような見解を述べました。
●雇用行政はセイフティネットのひとつであるものの、セイフティネットとしての雇用を必要としていない人も増えているのではないか。
●一方で、経済産業省が「社会人基礎力」の向上に予算を注ぐほど、若年者の社会化の遅れが社会問題となっている。
●採用枠がショートしているうえ、企業の選定基準も厳しくなっている現在、セイフティネットとしての雇用の必要のない人については、さらなる社会化訓練、職業訓練の経験を積むなど、新卒採用という日本特有の雇用習慣を見直す動きを作るような施策を議論するのも必要ではないか。
”ニートレーニー”を歓迎し、支援しよう!
私自身、大学を卒業してすぐに就職した商社を1年で退職し、その後30歳になるまではフリーライターでした。フリーライターといえば聞こえがいいものの、当時はその呼び名がないだけで、今で言うフリーターと大差のない働き方をしていました。
その後、30歳で銀行系のシンクタンクに採用され、経営コンサルタントとして社会のフロントで仕事をするようになりました。このラッキーなキャリアをつかめのは、フリーターとしての数年間の経験があればこそと思います。
この時期、私はたくさんの修業的な経験を積んでいました。26歳で心理カウンセリングに興味をもち、愛知教育大学さんで聴講をした後、京都大学大学院を受験し不合格となりました。そこで、広告業界で身につけたセンスを理論化しようと方向転換し、28歳で母校の商学部に戻りました。
貯金が貯まったら・・・と言う私に、早いほうがいいと助言してくれたのは母、授業料を出してくれたのは両親です。個人的なセイフティネットがあったので実現できた経験です。生活費を切りつめても、教育に支出を惜しまなかった父母に感謝しています。
2度目の大学生活では、サービスマーケティングという領域に興味をもちました。サービスマーケティングの知識、理論は、91年からブームとなったCS経営(顧客満足を創る経営)の専門家への道を拓いてくれました。サービス業の経営においては、コンタクトパーソネル(接客担当者)の育成が要となることから、人材育成、人材開発の分野での知識、スキル、ノウハウを積むところとなり、現在にいたっています。
意味のある経験をきちんと積むことができれば、新卒での採用を逃すと不利ということはありません。ポイントは、意味のある経験を積み、仕事をするための基礎的な能力や専門性を磨いていけるよう、専門家による適切な助言を受けたり、キャリアパスの設計を相談できる機会が持てるかどうかだと思います。
ヤング・ジョブ・あいちのような若年者就職総合支援施設が、そうしたニーズに応えられる専門家を擁することができれば、ニート(not engaged in education,employment or training)ではなく、積極的無業者としてのニートレニー(trainees not engaged in education and employment)の支援が可能になるのではないでしょうか。
Tags: ニート フリーター, ヤング・ジョブ・あいち, 若年者就職支援
弊社プロ講師養成スクールのセミナー受講者たちの勉強会「アリーナアドヴァンス プロ講師養成スクール受講生自主研究会」も第5回を迎え、注目される脳力トレーニングに焦点をあてて、アクティブ・ブレイン記憶法の紹介セミナーを開催いたしました
第5回 受講生自主研究会
テーマ:アクティブ・ブレイン記憶法とは?
講師:ABS認定インストラクター 藤本 肇氏
日時:2009年7月5日(日) 13:30~17:00
会場:アットワンス会議室(名古屋市丸の内)
*開催レポートはこちらから
→ 研究会ブログ「講師たちのキャリアアップ」
藤本肇さんこと「ふ~くん」は今年のお正月明け、師と仰ぐ故岡野嘉宏先生の姉弟子 伊藤啓子さん から紹介された岡野先生の兄弟子さんです。ふ~くんは初対面の私に、アクティブ・ブレイン記憶法という「活性脳をつくる素晴らしいメソッド」あると大熱弁。しかも、「紹介セミナーならボランティアで行くよ!」
そんなやりとりから実現した第5回 受講生自主研究会は、ふ~くんの心の垣根を飛び越えるようなファシリテーションと参加者のモティベーションの高さがあいまって、部屋の温度があがるほどの盛会となりました。
私はスキルトレーニングの専門家として、トレーニングメソッドに大変、関心があり、そういった視点からもセミナーを楽しめました。
今回は紹介セミナーということで、アクティブ・ブレイン記憶法の具体的メソッドを知りえたわけではありませんが、デモンストレーションや質疑応答でのコメントから推し量ると、脳の基本的な仕組みをふまえて、脳を躾けるための方法が体系化されたメソッドであり、プログラムであるように思えます。
一般的に、トレーニング(学習)の基本テクニックは次のようなことがらです。
●反復練習・・・何度も繰り返す
●モデリング・・・手本を示して、真似をさせる
●行動の特定・・・訓練したい行動を特定して、ひとつづつ訓練する
●目標の設定・・・達成しやすい目標から始め、少しづつバーをあげる
●インセンティブ・・・「できたこと」を賞賛して、強化する
●訓練の中断・・・上手くできたところで、戦略的に練習を中断する
●アンカーリング・・・得たい状態とこれを引き出すしぐさ、動作をつなげる
トレーニングのテクニックはおおよそ学習理論に基づいており、他にもいろいろなテクニックが使われますが、これらのいくつか、あるいはすべてをアクティブ・ブレイン記憶法は活用しているのでは・・・とお見受けしました。
また、脳や記憶のメカニズムについては、「エビングハウスの忘却曲線」「記憶の干渉」「学習の転移」など、脳科学のオーソドックスな研究成果に基づいていることも分かり、好感がもてました。こうした研究成果を手っとり早く知りたい方は、このブログで以前にも紹介した池谷裕二博士のだれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法を一読されることをお奨めします。
普及するメソッドの条件は①理論があり、②体系があり、③訓練の手順が分かりやすく、④成果があがることです。アクティブ・ブレイン記憶法は少なくとも①~③の条件を満たしていて、④についてはこれから体験をとおして、検証していきましょう。
ライオン社
売り上げランキング: 2988
Tags: アクティブ・ブレイン記憶法, トレーニング, 脳力, 記憶法
松田聖子さんの「風立ちぬ」にふりかえる… ~人材開発プロデューサーの萌芽~
81年8月、東京・信濃町にあったスタジオ・・・という書き出しで始まる、昨日(2009年9月5日)の朝日新聞朝刊の記事。信濃スタジオといえばCBSソニーさん、二十代の初めにご縁があって度々、お伺いしたことのあるスタジオです。
なつかしさと小さな感傷を覚えながら、出勤の仕度で慌ただしい数分に通読したのは、『普通のアイドルに決別 松田聖子「風立ちぬ」』と題する記事。50万枚を超えるヒット曲「風立ちぬ(作詞:松本隆 作曲:大滝詠一)」の制作エピソードです。
この記事を読んで、二十代の若き「私」にこそ、現在の私の職業的なアイデンティティ『人材開発プロデューサー』の萌芽があると気づきました。
人材開発プロデューサー・・・
それは、2001年の独立時に、名刺に刷り込むために創った肩書です。自らの職業人としてのアイデンティティを表わす造語であり、「人材開発の仕組みや仕掛けを創る人」という意味を表しています。
大学時代、就職を意識した頃に私が選んだ職業は「もの書き」、文章を書く仕事でした。コピーライター、編集記者といった商業的な作家のひとつとして、もっとも憧れていたのが作詞家です。
子供のころから歌謡曲が好きで、故 阿久悠さんの詞を美しいと思い、作詞の手本にしていました。そんな私の前に現れたのが、松本隆さんでした。
写実的でありながらロマンティック、現実的でありながらセンティメンタル、繊細でありながら、タフネスがある・・・。松本さんの詞の世界が、私に新しいインスピレーションをたくさんプレゼントしてくれました。
その松本さんが聖子さんに提供した「風立ちぬ」は、聖子さんの7枚目のシングル。今朝の記事では、「松田さんが普通のアイドルから脱皮する転機の曲となった」と紹介されています。
80年4月に「裸足の季節」でデヴューした聖子さん。初めはアップテンポなアイドルらしい楽曲を歌っていました。その後、「白いパラソル」でミディアム調に、「風立ちぬ」ではバラードへ。聖子さんを育てた若松宗雄さんはこれを機に、歌手としての内面をより深めて欲しいと願い、「文学少女的な、知的なイメージ」を狙ったのだそうです。
聖子さんは最初、「風立ちぬ」を「私には向いていない」と歌いたがらなかったそうです。若松さんは「曲に歌手が食われてしまうような、抵抗を感じたようだった」とふりかえり、「それを歌いこなした時、その歌手の新たな魅力が広がるのです」と述べています。
この曲がヒットした後、聖子さんは「聖子ちゃんカット」を短く切りました。
若松さんの回顧談を読みながら、私は作詞家に憧れていた頃の自分を思い出しました。そして、作詞家の卵としてレコード会社に出入りをしていた時に、とても満ち足りていて、楽しかったことを思い出しました。
その楽しみとは、ものを書く楽しみではなく、歌手を売り出す=歌手という人材を育てる楽しみであったことに、今さらながら気づきます。
人材開発プロデューサー・・・
独立当時は、この肩書に見合った活動を十分にしているとはいえず、むしろ、近い将来に実現したいキャリアヴィジョンを表わす肩書というのが実態でした。
独立して10年を経て、10年前のキャリアビジョンが現在の自分と重なっていることに、矜持と喜びを感じている昨今。人生の秋を迎えつつある今だからこそ、松本隆さんが「風立ちぬ」に託したメッセージが理解できる気がします。
<秋の風がふわっと吹いて、啓示を受ける。それは「強く生きなさい」>
人生は100年。これから、ますます強く生きていくことを自分自身に誓った今年の初秋。今日9/6は、58歳で亡くなった父の76回目の誕生日です。
Tags: 人材開発プロデューサー, 人材開発プロデュース, 風立ちぬ 堀辰雄 松本隆 松田聖子