2001年に独立した折に、人材開発プロデューサーという肩書を作り
肩書に恥じない働き方をめざして、足かけ10年を過ごしてきました。

今日は40代最後の1日。。。
明日朝8時45分に、50回目の誕生日を迎えます。

30代を終えて、40代に入る前、入った後、さまざまな人々から
「オウダイにのる気分はどう?」かと訊かれました。

答えは、何も変わらない=実感はない…というものでした。

今日は違います。
たった1日、10/31が11/1に変わるだけなのに、深い感慨があるのです。
センチメンタルな気分がともっていて、心の竹林が揺れている感じです。

imgp0448そのせいか、ここ数日、古い思い出がよみがえる体験が続きました。
30年近く前に仕事を教えてくれたグラフィックデザイナーとの再会をはじめ
25年前の創作活動を思い出す出来事 ⇒ 詳しくはこちらから

10代の頃、若尾彩子さんが黒川記章さんとご結婚された時
若尾さんが50才の「おばさん」というので驚きました。
が、50才を過ぎ、これから結婚するかもしれないと思うようになりました。

20代の頃、島田順子さんに憧れて、JUNKO SHIMADAで装いました。
うっすらと白いものの混じる順子さんの前髪を美しいと思いましたが
いまでは、白いものが混じる前髪をマネキュアしようかと迷っています。

人生80年、40歳は人生の正午。。。というものの、100歳まで生きるなら
まだまだ正午ではないと思えたけれど、もし100歳まで生きられるとしても
50歳はいよいよ、人生の正午です。

本当に人生の折り返し地点にたち、残りの人生が悔いなく過ごす責任を
つくづくと感じる50歳マイナス1日、2009年のハロウィンです。

還暦を迎える頃には、ソーシャルチェンジプロデューサーとして
社会を平和的友好的に変革するための仕組みと仕掛けをつくりたい。。。

だから、50代ではこれまでの活動を続けながら、後輩を育成するために
スーパーヴァイザーとしての役割も果たしていくつもりです。

これまでの活動としての人材開発プロデューサーにスーパーヴァイザーの
役割を足し算したら、人材開発プロヴァイザー。。。

これが、私の50代のありたい姿、めざす在り様です。
まもなく、40代に別れを告げ、50代の声を聞きます。

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悠木 そのま on 10月 21st, 2009

10/18、音楽家の加藤和彦さんが自ら命を絶たれました。

有名な音楽家とはいえ、知らない人なのに
なぜ、こんなにさみしいのでしょう。

従妹のレコードで聴いた「帰ってきた酔っぱらい」
キャンプファイアを囲んで歌った「あの素晴らしい愛をもう一度」
同じ頃、同じキャンパスに通っていた竹内まりやさんの「不思議なピーチパイ」
加藤さんのメロディはいつも、温かい思い出と一緒なのに。。。。

たくさんの友人たちが見送った19日の葬儀。
たくさんの友人や人々に愛されながら、惜しまれながら
「生きていたくない」「消えてしまいたい」という遺書の残して
この世から消えた心の闇を思うと、悲しくてやりきれません

もし、加藤さんのように消えてしまうことを考えている人がいたら
泉谷しげるさんのブログを読んで欲しい…
友人である加藤さんへのメッセージがつづられています。

泉谷しげる オフィシャルブログ 10/18日記より—————-

旅立つ前に、君を愛したヒトらの存在を少しは考えてくれたのだろうか。
・・・
肉体は消えてもヒトの記憶や想いはたやすく消せないよ。
もう放っといてくれと云ってもダメさ。

君はオレを含めた多くのヒトの“想い”でこれからも生かされてしまうのさ。
・・・

—————————————————————

私たちが気づかないだけで、誰かに愛されているかもしれない
そして、生かされてしまうかもしれない・・・

辛い時にも少しだけ顔をあげて、誰かを探してみたならば
消えてしまうよりも、生かされて生きていくことを選べるかもしれません。

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悠木 そのま on 10月 15th, 2009

昨日10月14日、愛知県行革大綱策定検討委員会でのこれまでの議論が
新たな行革大綱に向けた中間とりまとめ」として公表されました。

10月5日(月) 第2回愛知県行政改革大綱策定検討委員会での検討をふまえ
愛知県の関係部署が担当部分について提案を行い、総務部がとりまとめました。

委員会委員の意見がすべてもりこまれているわけではありませんが
現実的な運用、展開をふまえ、それなりの採用は行われています。

私の専門分野である人材開発に関わるところでは
人事部から、分限制度の厳密な運用についての記述が提示されました。

公務員については、身分が保証され、地方公務員については
地方公務員法
又は条例に定める事由による場合でなければ
意に反して、降任、休職、降給、又は免職されることはありません。

とはいえ、一般にささやかれるように、解雇されないというわけではなく
懲戒免職もありますし、公務の効率性を保つために、分限制度により
懲罰的な意味合いのない処分が行われることもあります。

私がお目にかかる多くの公務員は身を粉にして、昼夜、働いているものの
一部には、クビにならないからとタカをくくっているのでは…と
見える勤務態度の者もいないではあありません。

県民感情としては、パブリックサーバント(公の奉仕者)として
適正かつ効率的な公務の執行を期待したいところです。

分限制度があるから、懲戒免職があるからとムチ打つのは
善の心を信じる者として、痛し痒しではありますが
現状をふまえると、こうした制度の強化も致し方がないように思えます。

分限制度が厳密に運用されることのないよう、公務員の方々には
真摯な公務の執行をお願いいたします。

なお、県民意見提出制度(パブリック・コメント制度)に基づき
11月16日まで、中間とりまとめに対する県民からの意見も募集しています。

詳しくは、愛知県ホームページから → 県政 行政改革

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悠木 そのま on 10月 14th, 2009

第4期名古屋市男女平等参画審議会 第3回活動推進部会が開催されました。

日 時:2009年10月14日(月)9:30~11:30
会 場:名古屋市役所 本庁舎
担 当:名古屋市総務局男女平等参画推進室

先回までの審議内容の確認が行われた後、部会長会で修正された
新プランの目標・方針(案)が提案されました。

人権部会がどちらかといえば、社会問題にもなっているDVなど
マイナスをゼロにするための施策の検討を担っており
一方で、活動推進部会は、ゼロをプラスにしたり、場合によっては
プラスをさらにプラスにする施策を担っている…と認識しています。

したがって、活動推進部会では、社会を先導する女性リーダーの育成など
底上げというよりは引き上げの施策に力をいれるべきという視点の発言を
今回は多くしてみました。

育児休業、介護休業などで休業している男女の代わりに
業務をカバーして、がんばっている男女に負荷がかかり
これが理由で、職場の葛藤が起こっているという現状報告もなされ
ワークライフバランスの在り方を再考する機会にもなったと感じています。

女性が働き続けるためには、グラスシーリング(ガラスの天井)と呼ばれる
見えない障害があると言われます。

仕事は男、家庭は女としう性役割に関わる社会通念や社会的な価値観が
男女それぞれの役割意識、価値観に影響を与えています。

グラスシーリングは外にもあり、何よりも内にあることを
男女それぞれが認識し、これを乗り越えていくことによって
男女共同参画への道が一歩一歩、前進していくような気がします。

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悠木 そのま on 10月 2nd, 2009

段取り力開発セミナー」を産能大学マネジメントスクール
年間10回をお引受けしており、おかげさまで毎回、ほぼ満席です。

このセミナーでお伝えしているテクニックは驚くほど基本的なもので、
「知っていることばかり!」という評価をいただくこともあります。

おおよそ、世の中に出回っているテクニックというものに
画期的なものは多くはありません。段取りも同じです。

そして、画期的というよりは定番ともいえるテクニックを
どれほどの人が「使っているか」というと、驚くほど使っていません。

使っていない理由は3つ、あります。

1)テクニックを知らない(知識をもっていない)
2)知っているテクニックを使おうとしない
3)知っているテクニックを使おうとしても、うまく使えない

段取り力開発のセミナーでは、1)の方々をターゲットとしています。
2)の方々も強く意識しながら、進めています。

テクニックについて知り、活用の意欲または意志をもっていただければ
誰でもますます、段取り上手になる可能性を秘めているからです。

さて、3)の方々については、テクニックを身につけたいと思って
参加されているのに、今のところ、十分にお力になれていない気がします。

回数を重ねるにつれ、3)の方々に段取りのテクニックを学んでいただくには
どうしたらよいか…ばかりを考えるようになっています。

段取りには思考力がかなり関わっていて、左脳の働きが求められる一方で
思考力のみならず、直観力というものにも大きく関わる側面があります。
その点では、意外にも右脳の働きが重要であるようにも思われます。

少なくとも、段取りが得意な人たちの思考のパターンを解明して
これを真似すれば、段取りが苦手な人たちも段取りが上手になるはず…

そこで、段取りの達人たちの思考パターンを観察しているところです。
今のところ、次の4つがリストアップされています。

①全体を俯瞰できる
②先を見通せる
③事柄を分けられる
④事柄を並列で考えられる

それぞれの仮説については、「段取り力開発セミナー その2」以降で
現在の考えを表明していく予定です。

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悠木 そのま on 9月 27th, 2009

ただいま(~AM7:55)、朝日ニュースター「朝まで生テレビ」に
参議院議員の大塚耕平
さんが出演中。大塚さんは志の高い政治家であり、
9/18、内閣府副大臣に就任されました。

「朝までテレビ」司会者の田原総一朗氏が指摘するとおり、
自民党政治は地元重視の政治。「票田」重視の政治だったといえるでしょう。

無党派国民としては、国政は国会議員が地元対策=選挙対策のために
行うものではなく、国益のために行うものであって欲しいと期待します。

「朝までテレビ」での大塚さんは「勇気をもって申しますが・・・」と前置きし、
八ッ場ダム問題にふれました。地元の方を本当にお気の毒と思うけれども
50年前の約束を守るために(工事を続行し)、国民を犠牲にしてよいのか。
国のためにご協力をいただきたい…といった趣旨の発言をされました。
まさしく、勇気ある発言。

大塚さんを知ったのは、2001年の初出馬の時。

知人に紹介され、正直なところ、お義理で応援を始めましたが
国を変えるために、まずは政権交代という考えに強く共感するようになり、
今では、政治オンチの私の政治の師匠とも言える存在です。

国を変えるために、いち国民としては何ができるのか?
選挙で投票するのみならず、政治、行政にどうやって働きかけたらよいのか?
…ということを考え始めるきっかけを作ってくれた人でもあります。

初当選した直後、僭越ながら、大塚さんに告げた言葉を思い出します。
「あなたが志の高い政治家でいるかぎり、私はあなたを応援します」

大塚さんにかぎらず、与野党にこだわらず、志の高いすべての政治家を
私は等しく応援しています。だからこその無党派です。

大塚耕平さんが初出馬前から発行しているメールマガジン 200号が
今朝、届きました。

そこには、作家の村上龍さんがニューヨークタイムズ紙に寄稿した9/8の記事
「Japan Comes of Age」=「日本は大人になる」が紹介されています。

これからの国民は国に依存することなく、自らの足で立つことを求められている
・・・と痛感する昨今ですが、村上氏はこんな風に述べています。

「日本人は政権交代によって生活が改善されると信じるほど幼稚ではない」
「日本人はこうした事情を理解しているからこそ、マスコミで紹介される
街角の表情は妙に冷静で、場合によっては暗い印象を与える」
「それは日本が衰退の淵にあることを意味するものではなく、
単に子供が大人になろうとするときの憂鬱な気持ちを味わっているにすぎない」

大塚耕平さんのメールマガジン200号全文は下記のとおりです。

PS. 耕平さん、ご就任、おめでとうございます。
困難を越え、勇気と知恵を国政に注ぎ、よい国を作る仕組みをお作りください。

———————————

政治経済レポート:OKマガジン(Vol.200)2009.9.26

1.大人になる日本

鳩山政権が発足して10日。政権交代の評価は後世に委ねられますが、「日本でも選挙で本格的な政権交代が起きた」という点は国際世論も肯定的なようです。

作家の村上龍氏は9月8日のニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、「政権交代は日本がようやく成熟しつつある証だ」と指摘。この表現を受けて、記事の見出しは「Japan Comes of Age」=「日本は大人になる」となっています。

村上氏は「政権交代が起きても有権者は喜びを爆発させているわけではない。政府が全ての問題を解決してくれるのではないことに気づいたからだ。それは、日本がようやく成熟しつつあることを示している」と分析。

さらに「過去の日本では政府が全ての問題を解決するかのようなポーズを示していたものの、政府は全てを良くするような財源はもっていない」と指摘。そのうえで「日本人は政権交代によって生活が改善されると信じるほど幼稚ではない」とも述べています。

また「日本人はこうした事情を理解しているからこそ、マスコミで紹介される街角の表情は妙に冷静で、場合によっては暗い印象を与える」としつつも、 「それは日本が衰退の淵にあることを意味するものではなく、単に子供が大人になろうとするときの憂鬱な気持ちを味わっているにすぎない」と指摘。日本を代 表する文学者らしい洞察です。

そうは言っても、有権者は「今よりは良くなる」ことを期待して政権交代を選択したのですから、鳩山政権の責任は重大です。

鳩山政権の目玉は行政刷新会議と国家戦略局。いずれも国益に寄与することが求められますが、そもそも「国益とは何か」を定義することも必要です。

「国益」は英語では「national interest」ですが、日本の文献に「国益」という言葉が初めて登場したのは江戸時代中期。

藩財政を改革し、地元産品の他藩への「輸出」等によって藩経済の繁栄と自立を目指す「経世論」の中で使われた言葉です。したがって、「国益」とは経済が原点。

日本経済の障害になっている行政の非効率や無駄を廃し、財源を捻出して国民生活や産業育成に資する政策を戦略的に実行していくことが「国益」に寄与します。

2.デビュー戦

鳩山首相は、さっそく「国益」を背負って国連総会(ニューヨーク)と金融サミット(ピッツバーグ)に出席。外交デビュー戦に臨みました。

リーマンショックから1年が経過し、金融サミットでは世界同時不況に関する日本の新政権のスタンスに注目が集まることが予想されました。

そこで、鳩山首相の渡米前、リーマンショック後の世界経済の動きと日本がとるべきスタンスについて、以下の視点から鳩山首相に報告させて頂きました。

そもそも、昨年11月の最初の金融サミット(ワシントン)以降、世界が取り組んできた対策は4つに分類されます。

第1は拡張的マクロ経済政策。世界経済の底割れ防止に寄与してきたものの、米国の金融バブル、中国の景気バブル、新興国の資源・穀物バブル再燃という「負の側面」も徐々に拡大。

その結果、「世界経済は最悪期を脱した」という評価がある一方、今後の世界経済については「安定的な成長は確約されていない」「先行きは不安定」という見方も少なくないことを率直に申し上げました。

第2はIMF(国際金融基金)等の国際金融ファシリティの強化。日本はIMFへの最大1000億ドルの融資、最大5000億ドルの新規借入取極(NAB)増額などを提案。

こうした対応は国際社会及び日本の責務と考えますが、その一方で、被支援国を経由したバブルにつながっている面もあります。

第3は金融危機の原因となった金融機関行動等を是正するための規制強化。金融機関のみならず、企業、投資家、監督当局への対策が講じられており、 ヘッジファンドの登録制導入、金融安定化フォーラム(FSF)の金融安定化理事会(FSB)への改編強化など、一部は成案を得ています。

もっとも、規制強化は「欧州」対「米国」「産業界」対「金融界」の対立構図を生み出しており、多くの成果を得るには至っていません。

足許の懸案である自己資本比率規制強化(普通株による増強)、金融機関幹部の報酬制限についても、対立の構図を踏まえたうえで、日本としての「自己主張」が必要であることを進言しました。

金融サミット直前、及び開会中も、現地に行った担当官と連絡をとりあい、金融担当副大臣として対応はしましたが、副大臣就任は9月18日。既に規制 案やコミュニケ(声明)の交渉はかなり進んでいましたので、十分に意を尽くせなかった面があります。次回以降は、早い段階から交渉に関与したいと思いま す。

第4は保護主義回避の動き。一般論として異論はないものの、実際には米国、欧州、中国、インド、資源国それぞれが潜在的に経済圏の囲い込みインセンティブを高めており、EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)等の動きと連動しています。

日本は世界各国のEPA、FTA等に関する動きと戦略を注視し、「国益」を損ねないように適切な対応しなければなりません。

選挙前にFTA推進のマニフェスト政策に関連して「日本の農業が崩壊する」といった短絡的な議論が飛び交いました。国際政治経済の深層は、表層的な 議論や分析によって対応すると失敗する確率の高い世界です。読者の皆さんにも、次項(3.ナッシュ均衡)も参考にしてお考え頂ければ幸いです。

新政権としては、以上の4つの対策を基本的に継承。従来の対策の良い点は強化し、見直すべき点は改善し、金融危機に端を発した世界同時不況への対策に万全を期します。

3.ナッシュ均衡

国連総会、金融サミットに先立つ国連気候変動サミットでは、鳩山首相は「2020年に25%削減(1990年比)」という日本としての地球温暖化ガス削減目標を明言。ご承知のとおり、この目標には両極端の反応がありました。

ひとつは、日本の財界幹部を中心にしたネガティブな反応。つまり、他国に比べて厳しすぎる目標であり、日本の企業が大変だという指摘です。

もうひとつは、温暖化対策をリードする野心的な目標を提示したとして日本を賞賛するポジティブな評価。国連総会での鳩山代表への大きな拍手がそれを象徴しています。

このメルマガで一貫して主張していることは、是非は別にして、外交や国際交渉にはカードゲームのような側面があるということです。そのことを裏付け るように、欧米諸国は論理学である「ゲーム理論」のスキルを実際の外交に応用していると言われています。最近では中国にもそうした傾向が見受けられます。

「25%削減目標」に関する日本の報道には、重要な部分が欠落しています。それは、鳩山首相が「全ての主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提である」と述べている点です。ゲームには当然ルールがあります。この「前提」は言わば日本が設定したルールです。

これもこのメルマガで何度も指摘していますが、日本外交に最も欠けているのは、ルールメイクの努力が足りない点です。交渉相手の設定したルールやフィールドでプレーするだけの受け身の姿勢に終始する「お家芸」を改めなくてはなりません。

日本のメッセージを受けて、オバマ大統領は「温暖化対策のために全ての国が責任を果たそう」「米国がこの問題で消極的な行動をとる局面は終わった」「2020年にはアメリカは責任を果たす」と述べました。

インドも温暖化ガスの削減量を増やす方針を表明。こうした展開を評して、英国のミリバンド温暖化対策大臣が「日本が野心的な目標を示し、ジグソーパズルの一片、一片が並び始めた」とコメントしました。

一方、中国を筆頭にした新興国は「温暖化対策は先進国の問題である」という強行姿勢を崩していませんが、こうした新興国に対して、「ゲーム理論」的な外交スキルに長ける米国はカウンターのカードを切り始めています。

7月のG8サミット(ラクイラ)で、オバマ大統領は「各国財務大臣が気候変動ファイナンスの議論に関与すべきである」と主張。そして、今後の世界経済の議論は中国を含むG20の枠組みで行う方向に誘導しています。数手先まで読んだカードの切り方です。

「ゲーム理論」が有用なのは、複数のプレーヤーが存在する、各プレーヤーは各々目的を有する、各プレーヤーの行動は他のプレーヤーに影響を与えるという局面。まさに、外交そのものです。これまでの日本外交は、目的設定、影響分析という面が脆弱であったという印象です。

さらに「ゲーム理論」の応用は、プレーヤーの数(2人か3人以上の「n人」か)、利得の結果(ゲームによって利得がどうなるか、つまり、ゼロ、プラ ス、マイナスサムのいずれか)、プレーヤーの協力関係(協力する場合と非協力の場合)によって異なります。外交交渉は典型的な「n人の非協力ゲーム」で す。

「n人の非協力ゲーム」に対する解のひとつが、数学者ジョン・フォーブス・ナッシュが導いた「ナッシュ均衡」。

ポイントは「他のプレーヤーの行動を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の行動を変更することによってより高い利得を得ることができない」という均衡点が存在するということです。

逆に言えば、外交においては「他のプレーヤーの行動は所与」ではないので均衡点は存在しないことを意味します。だからこそ、常に状況の変化に応じて弾力的な主張と行動が求められるのです。

もっと簡単に言えば、「相手に読まれるような主張や行動はするな」という当たり前の鉄則。「日本は温暖化対策が進んでいるのでこれ以上は取り組めま せん」というワンパターンの主張は、必ずしも日本というプレーヤーやプレーヤーの総体である地球や国際社会にとってプラスサムとは限りません。

別の話ですが、世界最大の核大国である米国。その米国のオバマ大統領が「核軍縮に取り組む」と宣言して喝采を浴びているのも、「ゲーム理論」的に考えると今後の展開が興味深い「新しいゲーム」の始まりです。

財界を筆頭に、政界、学界、マスコミ界などの各界幹部は、今こそ「木を見て森を見ず」という戒めを心に刻むべきでしょう。僕自身も肝に銘じます。

(了)


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悠木 そのま on 9月 23rd, 2009

弊社アリーナアドヴァンス プロ講師養成スクールの受講生たちは
定期的に受講生自主研究会を開催しています。

imgp01759/21(月) 敬老の日の第7回受講生研究会には、
伊藤啓子先生をお招きして、
「コラージュ入門 part.2」を開催しました。

啓子先生はIBM人財ソリューションズ契約講師であり
プロ講師養成スクールの講師であり、
受講生と私のスーパーヴァイザー でもあります。

imgp38191※「コラージュ入門 part.1」については、こちらから
※コラージュという手法については、こちらから

6月開催の「コラージュ入門 part.1」では、
初めての体験で無我夢中、選んだ写真は大判ばかり…

これらをきちんと取捨選択もせず、どんどん貼り込んで
画用紙を8枚もつなげて、大きな作品を作ってしまいました。

今回は2回目ということもあるのか、imgp0205
制作のプロセスを見通せるようになり
画用紙2枚のサイズに納められました。

前回は自分の写真を中央に置く、
「曼荼羅コラージュ法」。

今回はペアがお互いがお互いのために
写真やイラストを選び、貼り込む
「ボックスコラージュ法」。

できあがった作品には「人生の旅路」というタイトルをつけました。
※作品についてはこちらから

啓子先生がいわく、「大人の色、緑を基調にした作品で非常に安定感・落ち着きが感じられます。中央の列車の中に作者がいる、という構図も中心が定まっていて安定感があります。流れが随所に見られるのは、まさに旅路を意識しているのでしょう。変化を受け入れ、変化を好んでいるようです」

確かに、私の生き方を表現する作品になりました。

imgp0204一方で、ペアが選んだピースのうち、
使い難いものは使わなかった…という
心残りがあり、一夜明けた早朝から
もう1枚の作品を作り始めました。

こぼれたピースを貼る「裏コラージュ」。
裏に貼るのではなくて、
1枚の作品に仕上げてみました。

お昼間の外出をはさんで、5時間ほどをかけて、夕刻に完成。
「命の源」とタイトルをつけました。
※作品についてはこちらから

1枚目の作品に見られた喧噪と静寂のアンビバレンスを感じますが
もっと深い情動のようなものが漂っているようにも見えます。

食事が象徴する現世と原紙物語、竹取物語の寓話が象徴する彼岸の世界を
行きつ戻りつする魂が求めているのは、深い愛なのかもしれません。

裏コラージュには、存在としての自らを見る思いです。

プロ講師養成スクール受講生研究会の定番ワークショップとして
「コラージュ入門」を継続していきますが、そればかりではなく、
自分を見つめてみたくなったら、独りでコラージュを作ってみます。

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悠木 そのま on 9月 16th, 2009

imgp014714:50 民主党代表 鳩山由紀夫さんが
第93代内閣総理大臣に指名されました。

まもなく、鳩山内閣が誕生します。

由紀夫さんの祖父鳩山一郎さんは、
第52・53・54代内閣総理大臣です。

一郎さんは初代自民党総裁であり、
日本国とソビエト社会主義共和国連邦との
二国間の国交回復を実現した内閣総理大臣として知られています。

56年の日ソ共同宣言の前年、55年には保守合同で自民党結成を結成、
自由民主党日本社会党を二大政党とする55年体制が生まれ、
保守勢力と革新勢力を軸とする構図ができたのも、鳩山内閣においてでした。

55年体制の定義は様々なあるものの、第一与党の自民党と第一野党の社会党
…という構図が一般的とされています(Wikipedia,2009)。

55年体制は、日本の二大政党制の萌芽であったといえるものの、
当時の自由民主党日本社会党の勢力比率は2:1。
「一と二分の一政党制」と呼ばれたそうです。

この比率では、自由民主党から日本社会党への政権交代が実現できない一方、
自民党憲法改正のための三分の二以上の議席は確保できません。

鳩山一郎内閣は二大政党制を実現しつつ、二大政党制の歩みを止めたまま、
第3次で幕を引きました。

由紀夫さんが政権交代をスローガンに掲げ、国民の支持を得た今、
一郎さんが実現し得なかった二大政党制の実現、
本当の民主政治の実現へと邁進して欲しいと願うばかりです。

4回目の鳩山内閣が日本の民主政治の幕を開けることを祈ります。

民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?
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5 地道な作業を省いては本質を見失う。
2 衆議院選挙マニフェストがより重要
5 マニフェストの先にある国家像が見えてくる
5 民主党の政策Q&A
4 民主党の政策を網羅したことに価値あり

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悠木 そのま on 9月 12th, 2009

ここ数日、脳が脳内のデータをミキシングしている気配を感じます
脳のあちこちに、過去、現在、未来の声が現れては消え、消えては現れます

無意識という真珠貝の中にある核が見るもの、聞くもの、触れるもの
外界の情報でまきこんで、新しい真珠を創ろうとしているかのようです

だから、様々な「啓示」とも呼びたい情報が連鎖してインプットされてきます
連鎖の中で、ふと目にとまったのが

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)

プロフェッショナルたちの脳活用法 (生活人新書)

新幹線品川駅に降り立って、べストセラー本屋さんで調達しました
読みたい本をうっかり、忘れてきたので、1分で選んで買ったのです
つまり、じっくり選んだわけではない…

夕方、羽田から小松へ飛ぶ機内でななめ読みして
「ミキシング」という言葉を、P17に発見いたしました
慶応義塾大学 理工学部 小池康博先生が次のように語られています

「国際会議からの帰り、飛行機に乗ったら必ずフラディマリーを飲む…
…自分はこう考えていたけど、昨日会ったあの人はこんなことを言ってたよな
と気がつく瞬間がある。それが自分にとってのいちばんのミキシングです」

そもそも、今日は大学の同級生 ㈱グラスティ 鳥屋多可三クンのお誘いで
「行動を変える感情能力(EI)セミナー」に参加したのです
会場は、六本木アカデミーヒルズ

終了後、大江戸線六本木駅から羽田に向かう途中、
ふと脳裡をかすめたのがimgp0110、二十歳の頃からとぎれとぎれに
訪ねている「ミスター・スタンプス・ワインガーデン

大江戸線六本木からは徒歩1~2分なので、思い切って
立ち寄ることにしました

ワインを覚えたての頃からお世話になっている支配人
碩本修二さんとお話しながら、20分でシャンパン1杯

羽田へ向かう足は少し慌ただしくなりましたが、
シャンパンのおかげでミキシングのスピードが加速しました

ミキシングが起こる時には、シンクロニシティもよく働くようです

鳥屋クンという同級生の誘いがなかったら、知り得なかったセミナー
彼の誘いではなかったら、参加しなかっただろうセミナーに参加して
本を忘れて本を買って、初対面の人出逢って、久しぶりのお店に足を運び…

ミキシング中の脳に、シンクロ二シティで集まってき様々なデータが
インプットされた1日でした

そして、今夜は石川県白山市のホテル…
脳がミキシングをしている気配は、それはそれは騒がしいものです
言葉がとぎれなく、よどみなく、脳内にあふれます

これは、新しい創造の段取りが始まっているに証拠です
やがて、これらの言葉が統合され、新しい真珠が生まれてくるでしょう

多くの脳科学者が述べているとおり、脳は眠っている間に
知識を整理してくれるそうですから、まずは、明日の朝が楽しみです

夜中の1時だというのに、鳥がひと声、ふた声、鳴きました
鳥も夢を見るのでしょうか

少し疲れてきたので、いまなら、きっと眠れます
今夜の夢はかなり騒がしくなることを覚悟して、眠りにつきます

悠木 そのま on 9月 8th, 2009

人材開発プロデューサーとして、日々、様々な仕組みや仕掛けを創り
その営みの中核となっているのは、教育研修の企画と運営です。

この仕事を始めて20年。年々、学習者との意思疎通の難しさを痛感します。
その大きな要素が「言葉」。

同じ言葉を使っているのに伝わらない・・・
むしろ、同じ言葉を使いながら、違うことを言っているので伝わらない。。。
といった体験は、誰でも日常的に体験しているはずですが、
年々、その頻度が高くなっているように思えるのです。

日本語とその文法が変わりつつあるうえに、
これまでの言語体系や意味のパターンが崩壊しつつさえあると思えます。

そんな折に手にした山鳥 重さん著
「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)

脳科学者の方々の活躍によって、よく知られるようになった記憶のメカニズム。
「わかる」ということの土台も、記憶にあるそうです。

私たちの知覚系は生きているかぎり、ある働きを繰り返しています。
それは、知覚したものを「区別→同定(照らし合わせ)」すること。

つまり、「知覚心象が意味をもつには、記憶心象という裏づけが必要」で
「記憶にないことは、わからない」のだそうです。

しかも、人は他者と交流するために、言葉という記号を手に入れました。
言葉はカミ、エンピツのような客体を記号化したり
ハシレ! ニゲロ!といった運動パターンを記号化するのみならず、
ハイ! イヤ!といった心の状態までも記号化することを可能にしました。

だから、「相手と同じ心象を喚起するには、
その手段である言葉と言葉の意味を正しく覚えておく必要があります」

言葉を操り、主に言葉を介して、学習支援を行っている立場から
果たして、正しい意味とはなんだろうと真剣に考えてしまいます。

私はキャリア開発の専門家でもあり、例えば、キャリアという言葉も
人々の記憶心象はあまりにも様々で、むしろ様々すぎて
学習者の心象を揃えるところから始めないと、学習の足並みが揃いません。

キャリアを含め、日本語に訳せない外来語が増えていたり
山鳥さんが著書で述べているとおり、ITとか、アナログ、デジタル、PCとか
新しい概念を表わすために登場した言葉が、巷にはあふれかえっています。

「分かりやすい」というので、ヴィジュアルが多様されるようになったのも
言葉の意味を正しく記憶しないで使う風潮を後押ししているように、見えます。

ビジュアルは、わかり難い概念を絵として、図形として
分かった気にしてくれるものですが、本当に「わかる」に至る前に
分かった気になってしまうというリスクがあります。

このような事情から、人々は正しい意味をよく理解しないまま
わかり難い言葉を分かったような気になって、使用しているようです。

「記憶にないことは、分からない」

記憶にあっても、正確でなければ、分かりあえない。
そんなことが、いま学習の場のみならず、職場で家庭であらゆるところで
起こり続けているのではないでしょうか。

コミュニケーションギャップが懸念される昨今、プロ講師としての責務として
言葉の正しい意味を確かめ、記憶していくという地道な努力を続け
記憶心象の大きなズレを防ぎつつ、学習者とのわかり合う体験はもとより
学習者相互がわかり合う体験を創造していきましょう。

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