悠木 そのま on 5月 21st, 2011

高野登さんを名古屋に迎え、今年もリーダーセミナーを開催いたしました。

昨年に続いての開催ではありますが、今年は
高野登さんとの対話を楽しみながら
ひとりひとりが自ら、答えを探していくスタイルにしました。

「高野なごや塾 vol.1」

定員12名、ランチをはさんでのフリートーキング。
「心のスイッチが入る仕組みづくり」を軸に、高野登さんも自由に語り
参加者も自由に質問をしたり、自由に意見を述べるスタイルです。

予想どおり、密着型の対話セッションが展開、次第に白熱し
リーダーとしての迷いを率直に打ち明ける人も続出しました。

ひとりひとりの心の中にある問いを投げかけると
高野登という、冴えた鏡が応えていく…。

鏡は答えてるのではなく、応えていて
だから、ひとりひとりが自ら、答えを探すことができる。

答えるのではなく、応えるというのは
カウンセリングと同じです。

そして、これができる人だからこそ
カリスマ講師として、高野登さんは評価されているわけです。

参加者の心のスイッチがもれなく入って
来年は合宿で、というアイデアも生まれました。

答えを探したい方は、「高野なごや塾 vol.2」のお知らせをお待ちくださいね。

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東日本大震災の発生からずっと、日本の被災地のこと、復興のことを
気遣っていてくれたプレイバックシアター創始者で、私の大切な師匠である
ジョナさんこと、ジョナサン・フォックスさんからメッセージが届きました。

メッセージはプレイバックシアター・スクール・オブ・ジャパンの校長
宗像佳代さんをとおして、プレバック人と呼ばれるジョナさんの弟子たちに
届けられ、その内容は下記のとおりです。

日本のスクール校長 宗像佳代さんの翻訳を添えて
プレバック人のみならず、日本の皆さんにお知らせいたします。

———————————————–

Dear students and colleagues,

Here in New York the first spring flowers are blooming
I hope each days brings Japan closer to a  normal life for all and a full recovery.

Before the earthquake and tsunami,
we developed plans for a special performance in September,
when I will next be in Japan. We would like to inform you about this performance now.

One purpose is for you and invited guests to experience me as conductor.

Whether the mood of the audience is ordinary or stimulated by a need to tell about recent events,

I am ready to be the conductor for your stories.

In order to be able to play in large space with an experienced team
without taking a lot of time for rehearsal,

I have invited the members of Playback AZ to be the performers.

The event will also be a special benefit Playback Theatre performance
to raise money for scholarships. None of us will take any pay for this performance.

In many ways these are not such easy times.

Some students do not find it so easy to come to the School of PT
because of the economic situation. This worries me.

We hope you will come and tell your friends and acquaintances about this performance.

——宗像佳代さんによる翻訳

皆様へ

ニューヨークでは、やっと春の花々が咲き始めました。日本の皆様の生活が
修復に向かい、平穏な日々が近くなるよう願っています。

さて、9月に行う特別公演のご案内です。地震と津波以前に作成した企画でしたが、
ご案内するのが今になりました。

この特別公演の第一の目的は、私ジョナサンがコンダクティングをする
パフォーマンスを提供することです。会場が普段どおりの雰囲気の場であれ、
非日常的な出来事によって揺れている場であれ、
私は皆様のストーリーをお預かりし、コンダクターを務めます。

上演に際して、充分なリハーサルがなくても広い会場で演じられる
経験豊かなチームとして、プレイバッカーズに協力をお願いしました。

第二の目的は、スクール奨学金を募るためです。奨学資金を
蓄えるためですので、我々全員が無償ボランティアです。

今は、色々な意味で大変なときです。経済的な事情によってスクールに
参加できない方もいらっしゃるでしょう。それを思うと心が痛みます。

お誘いあわせのうえ、ご来場ください。9月に皆様に
お会いできることを楽しみにしております。

ジョナサン・フォックス

———————————————–

<ジョナさんの復興支援パフォーマンスのご案内>

●日時:2011年9月20日(火曜日) 午後7時(開演)/午後6時30分(開場)
(終了は午後8時30分の予定)
●会場: きゅりあん 小ホール  (東京都品川区東大井5-18-1)
http://www.shinagawa-culture.or.jp/
 JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線 ・・・・大井町駅 徒歩1分
●参加費:前売3,500円/当日4,000円 ※全席自由
●出演: コンダクター/ジョナサン・フォックス  アクター&ミュージシャン/劇団プレイバッカーズ
●お問合せ:スクール・オブ・プレイバックシアター日本校
TEL:050-1096-3293  Email: info@playbackschool.com

<<参加方法>>
1)以下のいずれかでお申し込みください。
★ホームページ : http://www.playbackschool.com
★ファックス : ファックス番号: 050-1096-3293   以下の必要事項を記載 のうえ、お送りください。
・申込者のお名前(代表者の氏名、ふりがな)
・郵便番号/住所 ・電話番号
・ファックス番号
・参加申込人

2)お申込み後、下記指定口座へ代金総額をご入金ください
・銀行:横浜銀行 支店:上大岡支店  普通 1907113
口座名義:スクールオブプレイバックシアター
※払込手数料はご負担ください。
3)前売り券は、当日会場受付にてお渡しします。
・振込の際に発生する「振込み控え」を当日会場にご持参いただき、
受付「前売券引換カウンター」にてご提示
プレイバックシアター入門

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東日本大震災によって、経営環境が大きくシフトしました。
厳しく、苦しい状況に直面されているビジネスパーソンも多いことでしょう。

そんな中でのゴールデンウィーク。休める人、休めない人、休まざるを得ない人、
日本中に喜こもごもの物語がつづられていそうです。

入社から緊張続きだった新入社員たちもほっと一息、ついている頃でしょうか。

震災危機の今年でなくても、新入社員の緊張感の高さには
毎年、心が洗われるようです。

とにかくテンションが高い!
何をするにも前向きで謙虚で、気持ちがよいものです。

それが半年後、秋のフォローアップ研修にお伺いすると、新入社員の多くが
意気込みだけではやっていけない無力感に打ち沈んでいます。

「テンションは高いが、モティベーションがないのが新入社員!」

とは、主宰するプロ講師養成スクールのスーパーヴァイザー高野 登の
『プロ講師養成スクール 白熱研修』の研修中の名言です。
高野 登についてはこちらから

高野は、新入社員たちのテンションが下がりきる前に
モティベーションを育てよう、と提案しているわけですが
テンション(tension)とは「緊張、張力」を意味する英語で
「やる気」を意味する造語として、日本ではすっかり定着しています。

一方、モティベーションとは、何かに向かう「意欲」です。
人々を突き動かしていく原動力でもあり、「動機」と訳されることもあります。

つまり、テンションが高く、モティベーションがないとは
やる気ではあるけれども、何のためのやる気なのか
何をめざしているのかが明確ではない、気分的な瞬発力を指します。
そうですね。これは、新入社員だけではないかもしれませんね。

中堅になっても、ベテランになっても、いつもモティベーションが高いか
と問われたら、私には「いつも…」と答える自信はありません。

また、仕事がら、自他のテンションをもりあげて
目標達成、課題達成をめざそうとする人と出会うことがありますが
短期的にはともかくも、テンションだけのやる気は長続きしません。

テンションが切れると、チームが停滞して、成果が頭打ちになります。

それなりのキャリアを積んで、人前に立つ、人の上に立つ人になったら
私たちはいつも、いつでもモティベーションを保つための挑戦と内省を
続けなければ、リーダーとしての責務を果たせません。

プロ講師養成スクールでは、高野 登などカリスマ講師たちとともに
『LSTP(リーダーシップ・スキル・トレーニング・プログラム) AA版』
『リーダー人財が育つ! 白熱研修』などの研修・セミナーをとおして
リーダーのモティベーションの源泉を提供し続けています。

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今年3月、大震災を慮り、卒業式を中止した立教新座高校の校長
渡辺憲司先生が卒業生たちに贈ったメッセージが話題になっているそうです。

本当に素晴らしいメッセージです。

衿をただし、背筋を伸ばし、心の眼をひらき、耳を澄まして
これまでの道、これからの道をふりかえりたくなります。

戦後最大の苦難に生きる私たちはいま、何ができるかのみならず
地球に生きる者として、何をすべきかを深く考えさせられます。

渡辺先生は、福音書の言葉を引用されました。
「真理はあなたたちを自由にする」 ヨハネによる福音書8:32

大きな自然の営みの中では、あまりにも小さく、無力な私たちに
今こそ、真理を見つめようと呼ぶ声が聞こえてくるようです。

2011.3.24トピックスとして、立教新座中学校・高等学校 公式サイトに
公開されており、遅ればせではありますものの、ご紹介いたします。

筆者文責による抜粋は下記のとおり、全文は同校公式サイトからご覧ください。

 

「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。」からの抜粋————

今、私の目に浮かぶのは、津波になって荒れ狂い、濁流と化し、
数多の人命を奪い、憎んでも憎みきれない憎悪と嫌悪の海である。

これから述べることは、あまりに甘く現実と離れた浪漫的まやかしに
思えるかもしれない。私は躊躇した。
しかし、私は今繰り広げられる悲惨な現実を前にして
どうしても以下のことを述べておきたいと思う。

大学に行くことは、他の道を行くことといかなる相違があるのか。
大学での青春とは、如何なることなのか。

大学だけが学ぶところではない。

大学で得る友人が、すぐれたものであるなどといった保証はどこにもない。

エンジョイするために大学に行くと高言する者がいる。

これほど鼻持ちならない言葉もない。ふざけるな。今この現実の前に真摯であれ。

君らを待つ大学での時間とは、いかなる時間なのか。

学ぶことでも、友人を得ることでも、楽しむためでもないとしたら、
何のために大学に行くのか。

誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか
「立ち止まる自由」を得るためではないか

現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

大学という青春の時間は、時間を自分が管理できる煌めきの時なのだ。

自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。
流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。
愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。

「真理はあなたたちを自由にする」 ヨハネによる福音書8:32

私は、今この時だからこそ、諸君を未来に送り出したいとも思う。
惨状を目の当たりにして、私は思う。
自然とは何か。自然との共存とは何か。文明の進歩とは何か。
原子力発電所の事故には、科学の進歩とは、何かを痛烈に思う。
原子力発電所の危険が叫ばれたとき、私がいかなる行動をしたか、
悔恨の思いも浮かぶ。

世界の各国から多くの救援が来ている。地球人とはなにか。
地球上に共に生きるということは何か。そのことを考える。

今ここで高校を卒業できることの重みを深く共に考えよう。
そして、被災地にあって、命そのものに対峙して、
生きることに懸命の力を振り絞る友人たちのために、声を上げよう。
共に共にいまここに私たちがいることを。

被災された多くの方々に心からの哀悼の意を表するととともに
この悲しみを胸に我々は新たなる旅立ちを誓っていきたい。

巣立ちゆく立教の若き健児よ。日本復興の先兵となれ。

梅花春雨に涙す2011年弥生15日。

(立教新座中学校・高等学校 公式サイト 2011.3.24トピックスより)

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ゴールデンウィークに入り、ボランティアとして
被災地に入る方々が多いと報道されています。

震災発生後まもなくのこと
心から信頼する友人 クニちゃんこと橋本邦彦さんから
「支援者用注意事項一覧」が届きました。

いつか、社会に広く、ご紹介したいと考えていました。
はじめて、被災地ボランティアをされる方も多いと思いますので
この機会にぜひ、ご紹介させていただきます。

Japan Tsunami Grief Support Project (JTGSプロジェクト)が作成し
A4 1枚に、次の2つの視点から注意事項が記述されています。

・しないほうがよいこと
・気をつけて欲しいこと

メンバーの井上ウィマラさんは、高野山大学でスピリチュアルケアなどを
研究されていて、橋本さんの頼もしい仲間とのことです。

クニちゃんからのメールには、次のようなメッセージがありました。

 彼が作成にコミットした添付の支援者用注意事項は
 大切な「注意」であると思います。
 日常の対人関係においても同じく役立つと思いますのでシェアいたします。

支援者はよくよく気をつけないと、善意からとはいえ
ついつい、余計なお世話をやいてしまったり
「してあげる」という気持ちがわき出て、知らず知らずのうちに
上の立場にいるような錯覚に、陥ることがあります。

私も講師として、カウンセラーとして、ハッと気づくと
大きなお世話をやいていたり、よかれと思ってのことではありますが
相手の望まない支援を、強くお奨めしていることがあります。

「お手伝いをさせてくださり、ありがとうございます」という気持ちを忘れず
自分が何をして欲しいかではなく、おひとりおひとりが何をして欲しいかを
丁寧にお尋ねしたり、慮ったりしながら、支援をしたいものです。

——————————————-

被災地の外部から被災者を支援する皆様へ(原文)

被災者の方、そして支援者の方のこころの安全を守るため
以下のご配慮をお願いいたします。

しないほうが良いこと・・

・被災した人を弱者として「~してあげる」「かわいそうに」といった
 態度や話し方をしないで下さい。相手の自尊心を傷つけることになります。
 また「頑張って」と安易に励ますことも控えましょう。
 どう頑張れば良いのかもわからない時があります。
 「頑張って」や「頑張ろう」という言葉は、何と言えばよいのかわからない時に
 自然と出てくる言葉ですが、できるだけ使わないようにしましょう。

・体験を詳細に聞くことは控えましょう。
 また、被災者が体験していることや心情を、憶測で決めつけてしまわないように
 して下さい。実際、ほとんどのことが、当事者でなければわからないことです。

・その人が、被災体験について話をしているときに、
 話題を変えないようにしましょう。

・ 「あなたのお気持ちがわかります」と言ったり、相手が聞いていないのに、
 あなた自身の体験を話さないようにしましょう。たとえあなたが同じような被災や
 死別の体験をしていたとしても、今は、その人の体験や感情が重要なのです。

・「時間が癒してくれますよ」、「何か他のことを考えるようにしたら」、
 「神のおぼしめしです」といった言葉で、
 心の痛みを落ち着かせようとしないで下さい。
 たとえ善意から出た言葉であったとしても、悲しみが強い時には、
 そのような言葉は助けにならず、余計に傷つけてしまう場合もあります。

・求められていない時に、アドバイスをするのは避けてください

・ 守りきれない手助けを、約束しないで下さい。
 不確かな情報も、提供しないように気をつけて下さい。

・ 一定期間が経てば悲しみを克服できると考えないで下さい。
 悲しむことは、通常、人々が予想しているよりもずっと長く続くものです。

気をつけてほしいこと・・

・ 話を聞くときは、その人が何を望み、何を伝えたいのかに焦点をあて
 今できる支援から考えていきましょう。日常生活で支援できそうなことがあれば
 最初にその人に何をして欲しいかを尋ねると良いでしょう。
 支援の方法はいろいろあります。例えば、その人の必要なものを調達すること
 安否確認を手伝うこと、子どもの面倒を見ること、何かの手続きをする時に
 一緒に付き添うこと、物を修理すること、などがあります。
 現在の被災者のニーズに沿うことは、たとえそれが物質的な支援であったとしても
 心のケアにつながっています。

・支援活動に参加した自分の思いを、現地のニーズに合わせて修正することが
 必要な場合もあります。
 被災地では、自分の思ったような活動ができないことが多いのが現状です。

・自分が短期間しか支援できないことを認識しましょう。そして被災者の多くは
 心に踏み込まれることに抵抗があるということを知っておきましょう。
 その人が話をしたくない時は、そっと見守りましょう。

・中には、感情を人に見せることを好まない人や
 ひとりの時にしか泣けない人がいます。泣いていないからといって、
 その人が悲しんでいないということではないことを、心にとめておいて下さい。

・「これからどんな風に生きていけば・・」と言われることがあるかもしれません。
 その言葉が出たとしても、あなたにその答えを求めているわけではありません。
 ただそばにいて話を聞くことが、大きな助けになります。

・被災者のプライベートな話題を聴くこともあると思いますが、
 他の被災者や支援者と共有した方が良い情報と、プライバシーの
 保護をするべき情報を、きちんと分けて扱うように、十分な注意を払いましょう。
 信頼関係を築くことが支援の第一歩です。

・少し時間がたつと、怒りや不満の感情をまわりにぶつけることがあります。
 たとえ支援者に対しての言動であっても、支援者を責めているのではありません。
 悲しみや行き場のないつらさが、怒りとなって表れているのだと考えてください。
 これらの感情への対応は専門家でも非常に難しいですが、
 できるだけ非難や否定をせずに感情を受けとめましょう。
 その後で、実際に困っていることを聴いてください。

・ひとりきりになりやすい被災者の人(子ども)には、できるだけ声をかけて下さい。

・子どもは元気そうにしていても、自分の気持ちを、親や周囲の人に
 話せずにいる場合があります。できるだけ日常生活に近い安全な状態になるように
 配慮しながら、注意深く見守りましょう。

・子どもには、わかりやすい言葉で話して下さい。また、大人ばかりが話さず、
 子どもが話せるように待って下さい。多く話す必要はありませんが、
 子どもたちのニーズを探ることも重要です。

・たとえどんなに厳しい現実であったとしても、子どもに決してうそを
 つかないで下さい。説明するときは、子どもの年齢に合わせた言葉を使い、
 必要以上に怖がらせないようにしましょう。

・子どもの支援には、その子どもをもつ親への支援が大切です。
 親が安心して休める場を提供し、親の不安を和らげることが、
 子どもの支援につながります。

・まずは自分の心身の安全を確保できる事が、支援者として最も重要なことです。
 そして、支援者自身の過労や燃え尽きに十分に注意して下さい。
 被災地での活動は、支援したいという気持ちや精神的緊張から、
 過剰に活動してしまいやすい環境にあります。
 また、心に傷をもつ人たちのサポートは、
 強い疲労感や無力感を引き起こすことを覚えておき、
 自分で休息をとるように配慮して下さい。

参考資料:
ビリーブメントケアCruseサイト(英国)
兵庫県こころのケアセンター サイコロジカルファーストエイド実施の手引き

作成:
Japan Tsunami Grief Support Project (JTGSプロジェクト)
瀬藤乃理子さん(甲南女子大学)、米虫圭子さん(京都産業大学)
黒川雅代子さん(龍谷大学短期大学部)、井上ウィマラさん(高野山大学)

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NHK特別番組『マイケル・サンデル 究極の選択 ~大震災特別講義~』が
昨夜4/16(土)21:00から73分にわたって、放送されました。

日々の生活の中で起こり得る出来事の中から
絶対的な答えのない究極の選択を学生たちにぶつけ
「君ならどうする?」と、投げかけてきた政治哲学者で
ハーバード大学教授のマイケル・サンデルさん。

その授業「Justice(正義)」には、毎回1000人を超える学生が集まり
アメリカ建国に先駆ける1636年創立の歴史を持つハーバード大学において
履修学生数の最高記録を更新しています。

教員と学生との対話によって進められる、いわばソクラテス方式の授業は
教育の最高の事例とも言われ、NHK番組「ハーバード白熱教室」をとおして
日本でも知られるところとなりました。

そのサンデルさんが、かつてない試練に直面した日本を激励するために
ボストン、上海、日本をつないで、各地の学生たちに問いを投げかけ
「私たちは何をすべきか」を考えるべきか、新たな指針を探ったのが
NHK特番『マイケル・サンデル 究極の選択 ~大震災特別講義』です。

3.11以後の過酷な状況においても、強盗も便乗値上げも起こらず
冷静に協力し合う日本人の姿には、世界から称賛の声があがっており
サンデルさんは日本人のこうした姿について、ボストン、上海の学生たちに
意見を求めるところから議論をスタートしました(YouTube画像はここ)

その後、ボストン、上海、東京の学生に加えて、日本の4人の有識者、著名人に
次のような質問を投げ、議論を深めていきました。

○危険な任務は誰が担うべきか
○高額な報酬での募集は公正か
○原子力への依存を続けるのか、減らしたり失くすのか
○わたしたちはグローバルな共感を持てるのか

サンデルさんの質問と学生や出演者の意見を聞きながら
大震災にみまわれた私たち日本人が、いま、いかに倫理や哲学の問題と
隣合わせに生きているかを実感しました。

質問のうち、「高額な報酬での募集は公正か」という問いについて
若い人たちの議論が展開された時には、何かしら違和感を覚えました。

高い報酬が必要であるという学生も、必要でないという学生も
報酬を「与える立場」からの発言のように聞こえ、いまも、危地において
危険な任務に就いている人たちに失礼ではないか、とはらはらしました。

出演者の意見も様々に割れましたが、作家の石田衣良さんが発言された時には
一緒に視聴していた家族とともに、思わず知らず、拍手をしてしまいました。

「今、高い報酬が前提の話しがずっと続いていますよね。
ですが、現実問題として、自衛隊の方も消防隊の方も
僅かな危険手当をもらっているだけで、ごく通常の給料で働いていることは
皆さん、忘れないでください」

サンデル教授がこの質問をした時、私はNYの9・11テロを思い出していました。
あの時も、NYの消防士さんや警察官がたくさん殉職されています。

9・11で仲間を亡くした消防士さんが、貿易センタービル最上階のレストランに
「銀婚式で初めて、妻を連れて行った」と…と語った新聞記事も思い出しました。

日本のビジネスマンが接待でならば、日常茶飯時に使うレストランに
銀婚式を迎えた妻をエスコートするような、堅い暮らしをされている消防士さん。

その仕事が危険であることを知っていて、その仕事に就いた方もいれば
もっと安全で、もっと給料の高い仕事とのご縁がなくて、という方もいるでしょう。
いずれにしても、危地に赴く方々は任務を使命と考え、危地へと発っていくのです。

使命とは、命を使うと書きます。

人事の募集の際に、高い報酬を示しても、使命ある人が応募するとはかぎらず
報酬に動機づけられたからといって、使命に欠けるともいえません。

一方で、報酬が高いことだけをよしとして、危険な任務に就く人もいます。

また、仕事が危険であってもなくても、給与には産業や職種による相場があり
相場はそれぞれの任務に対して、果たして「公正」なものかどうか…
その実勢は少なくとも、非常に「不公平」なもののようには思われます。

対価が高額でなかったとしても、危地に赴き、私たちを守る人がいるという
敬虔な事実を私たちはどのように受け止めたら、よいのでしょう。

東北出身の作家 宮沢賢治の童話「グスコー・ブドリの伝記」のストーリーを
生きている人がいま、この日本にいることに、畏敬の念を感じます。

こうした方々に感謝の気持ちをこめて、何かお礼をしたいものの
それは、むしろ、経済的な報酬ではないように思われます。

東京消防庁のハイパーレスキュー隊が福島第一原発に向かったのは
3/18(金)午前3時、ほぼ1カ月前のことです。

総監は「命じるのはつらいけれども…」と、派遣を発令したそうです。
総隊長の妻は「日本の救世主になってください」と見送ったそうです。

ハイパーレスキュー隊第一陣が帰還した時、隊長が記者会見で見せた涙
その重さと温かさをいまさらながら、思わずにいられません。

自衛官と親しい友人が、彼らが国民に対して期待することを尋ねた時
ある自衛官が、「敬意をはらって欲しい」と述べたそうです。

危地に赴く人に対する「公正」な報酬とは
むしろ、経済的な報酬ではないのかもしれません。

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>「手嶋龍一流リーダーの条件(上)」からの続き

 

ブラック・スワンとは、黒い白鳥のことです。

かつて、欧州では白鳥と言えば白いものと思われていましたが
オーストラリア大陸が発見された時、そこに黒い白鳥がいることが分かり
白鳥は白い…という常識が覆されてしまいました。

つまり、ブラック・スワンとはほとんどありえない事象
予想しなかった事象を象徴する言葉として、使われます。

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

外交ジャーナリストで作家、慶応義塾大学大学院 教授の手嶋龍一さんは
4/13(水)、名古屋三田会春の集い 講演会で、次のように語られました。

「いま、FUKUSHIMA(福島)にはブラック・スワンが舞い降りていて
世界中が、FUKUSHIMAをHIROSHIMA(広島)と重ねて見つめています」

「ブラック・スワンが天空に姿を見せた時、国家の、企業の指導者たちは
いかに立ち向かうか。これこそがクライシス・マネージメントの核心です」

講演会で語られたお話は、「福島原発」対論(上・中・下)」でも
公開されていますので、抜粋しながら、講演の内容をご紹介していきます。

 

———————————-以下、(上)から抜粋

日本のフクシマではいま、尋常ならざる事態が起きつつある、と
諸外国は疑いの眼差しを向けている。

アメリカの統帥部は、第7艦隊の隷下にいた原子力空母
「ロナルド・レーガン」を真っ先に東北沖に急派した。

「ロナルド・レーガン」に乗せてもらったことがあります。

まず見せてくれたのは、炉心溶融が起こった時に対応する防護チームでした。
そういう危機対応チームが控えている船員を乗せた原子力空母を
差し向けたアメリカの真意はもうお分かりでしょう。

これほどの危機に立ち向かう日本の政治指導部そのものが
メルトダウンしているのではないかと疑っているのでしょう。

「アメリカがお手を貸しましょう」と申し入れたのですが
菅内閣はこれを事実上拒否してしまう。

ワシントンで正式な外交ルートを通じて日本側に打診したのですが
日本側は明確な返答をしなかったようです。

———————————-以下、(下)から抜粋

首相官邸の機能不全は国民だれの目にも明らかになっています。
国際社会も指導力の欠如を「リーダーシップのメルトダウン」と呼んで
不安視しています。

危機の指導者として適確性を備えていない首相に舞台から降りるよう促す人が
誰もいないというのもいまの日本の政界を象徴しています。
霞が関の官僚機構も半ば崩壊して、サジを投げかけている状態です。

ここまで日本の政治的リーダーシップ全体が劣化してしまうと
自民党と入れ替わったところで、打開はまず無理でしょう。

今や世界中から「日本は当事者能力がない」と見られており、
アメリカのホワイトハウスもフランスのエリゼー宮も
「自分たちに任せてくれれば全てやってあげるのに」という
雰囲気になっています。

日本として何とも残念なことです。

———————————-抜粋、ここまで

 

このところ、政治献金問題で強制起訴された大物政治家が
元首批判、菅おろしと思しき発言をされています。

動機は異なるものの、交代には賛成。
しかしながら、与野党とも人材不足で交代要員がいません。

講演会後の懇親会で、手嶋さんとお話しできる機会をいただいたので
(手嶋さんは自ら会場を回られ、200人近い人々と名刺交換されたのです)
次期国家元首の候補をお尋ねしたら、輸入がお奨めとのことでした。

手嶋さんは大震災発生前から
インテリジェンス・サイクルを持たない日本の政治指導者たちの
特にリスク・マネジメントにおける、機能不全を指摘されてきました。
※インテリジェンス・サイクルなき政治指導者については
4/13記事「手嶋龍一流リーダーの条件(上)」から

もっと以前に、米国からクリントン国務長官あたりを輸入しておけば
東日本第震災による地震、津波、原発の3重苦のうち
原発による苦難はもう少し、軽減されていたのでしょうか。

これまでもこれからも、ホワイトハウスやエリゼ宮から
リーダーを輸入するのが、非現実的であるならば
FUKUSHIMAに舞い降りたブラックススワンがこれ以上
暴れないようにするために、政治指導者は何をすべきなのでしょう。

手嶋さんは次のように述べています。

 

———————————-以下、(上)から抜粋

「大災害や戦争には想定外の出来事は避けられない。

~想像すらできない事態を想定して備えておけ~

これは「核の時代の語り部」といわれた、アルバート・ウォルスタッター博士が
若い戦略家たちに言い聞かせていた有名な言葉です。

今度の大震災でも、原子力の専門家が想定していた規模を遥かに超える災厄が
現実のものになった段階で、緊急の指揮・命令系統を首相官邸に設置すべきでした」

———————————-以下、(上)から抜粋

政治指導者は、危機に臨んで決断を下し、結果責任をとる存在だからです。
政治指導者が決断を下すにあたって依拠するのがインテリジェンスです。

———————————-抜粋、ここまで

 

遅ればせではあるけれども、手嶋さんの説くインテリジェンス・サイクルを
政治指導者は早急に構築し、結果責任を負って決断を下すしかないようです。

そして、何よりも国民をもっと、信じて欲しいものです。
国民は政治指導者が思っているよりも、ずっと賢く、ずっと強い!

 

———————————-以下、(中)から抜粋

パニックを抑えようとして報道を歪めてしまい
それが国際社会の疑惑を呼び起こすという悪循環を招いてしまったのです。

今回の原発報道を見ていると、テレビを見ている人と
実際にテレビでコメントをしている人との有意差はまったくないに等しい。

———————————-以下、(上)から抜粋

パニックを起こしていないのは、被災地の一般の人々です。
一方で日本の政治指導部と東電は、浮足立って
決断する機能がメルトダウンしかけています。

冷静沈着な民衆とパニック寸前の政治指導部。
まことに奇妙なギャップを抱える構図になっています。

従来、日本に厳しい論調を張ってきた国のメディアすら
賞賛の声一色です。これほどの災厄を蒙りながら、
英語でいうselflessness、私を虚しうして、隣の人の命を気遣う。
こんな国はやはり世界では稀な存在といっていい。

———————————-以下、(上)から抜粋

人々にいたずらにパニックを引き起こさないよう、
問題の核心、そして真相をストレートに伝えないのは、やはり間違いでしょう。

現にこれだけの災厄に遭遇しながら、人々はどの国より冷静です。
正確な情報を開示しさえすれば、かなりの試練に耐える人たちです。

政府がなすべきは、一刻も早く東電と原子力保安院から主導権を取り戻すことです。
本当の意味の危機管理チームをつくって、総理の決断を誤りなきように
補佐する体制を整えなければなりません。

———————————-抜粋、ここまで

 

首相官邸にお願いします。

日本人はパニックを起こさず、助け合う力をもった民族です。

「念のため」「ただちには」といった、”気休めのリップサービス”は辞めて
事実に色をつけず、ストレートに伝えてください。
そして、日本の政治指導者への信頼性を修復してください。

被災地の方々のがまん強さ、被災地を支えようとする日本人の仁義。
それだけでは、日本を救うという、国際社会への大義に応えられません。

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2011年度名古屋三田会 春の集いが本日4/13(水)
18:30~ ヒルトン名古屋ホテルにおいて開催されました。

名古屋三田会は名古屋圏の慶應義塾大学卒業生の同窓会で
毎年4月頃、塾に関連する講師を招いて講演会を開き
その後に、懇親を深める立食パーティを行っています。

今年度は、担当幹事を仰せつかったものの、直前まで
仰せつかったことをすっかり忘れていて、冷や汗をかきかき駆けつけ
後輩たちに交じって、受付のお手伝いをいたしました。

それはさておき…

今年度の講演会講師は、母校の大学院 SDM学科教授で
外交ジャーナリスト・作家の手嶋龍一さんでした。

手嶋さんは元NHKワシントン支局長で、9・11同時多発テロ事件では
11日間にわたる24時間連続放送を担い、冷静で的確な分析によって
視聴者の心を鷲づかみしたジャーナリストです。

演題は『東アジアの時代とニッポンの針路 福澤諭吉「脱亜入欧論」再考』
の、はずだったのですが…。

「冷静沈着な民衆とパニック寸前の政治指導部」と称して
福島第一原発事故に対する政治指導者の対応の欠陥を語られるうちに
憤懣やるかたなくならなれたのか、脱亜入欧論には辿りつかずに講演は終了。

用意されたパワーポイントのシートは、40枚を越えていたとか…。
私の記憶では、18枚ほどを映写したところで終わられたと思います。

脱亜入欧論のお話は、伺えなかったものの
プロでもこんなことがあるのね、とほほ笑ましく感じたのと
プロの視点の迫力と内容には、たいへん感服をいたしました。

もっとも、後に手嶋さんの公式サイトを拝見したところ、内容については
情報誌「FACTA」の阿部重夫編集主幹との3回にわたる「福島原発対論」
講演での情報提供のベースになっていたようなので
勉強をされている方にはすでに、ご存じのコンテンツだったかもしれません。

とはいえ、手嶋さんは名古屋三田会会員に地元財界はじめ
名古屋のビジネスリーダーが多々、混じることを配慮されたのでしょうか。

「手嶋龍一×阿部重夫「福島原発」対論(上・中・下)」の話題の中でも
第1原発のクライシスをめぐる、政治指導者の対応と在り様を取りあげられ
手嶋龍一流リーダー論をナマで伺えたのは、思いがけない収穫でした。

というのも、今年度の当社では、リーダー、指導者の育成に力を注いでいます。

たとえば、来月5/21(土)には「高野なごや塾」を開講して
心のスイッチをいれる、リーダーの在り様を語り合う予定です。

高野 登(弊社プロ講師養成スクール ス―パーヴァイザー)は2009年
ホスピタリティの殿堂 リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長を辞して
長野市長に立候補して現職に僅差にせまった男です。念のため。

そんなわけで、リーダーとは何か、リーダーはどうあるべきかという命題は
いまの私にとって、脱亜入欧以上の関心事といえるのです。

さて、ご存じのとおり、手嶋さんのテーマは「インテリジェンス」です。

春の集い講演会においても、インテリジェンスについての解説があり
インテリジェンス・サイクルを回すことの重要性を説かれました。

釈迦に説法かと思いますが、手嶋さんによる「インテリジェンス」とは…
「一般情報(インフォメーション)から、貴重な情報の原石を選り抜き
その真贋を確かめ、周到な分析を加えて、情報が意味する全体像を描き出す。
トップリーダーが決断するにあたって、役立つ精査された情報」のことです。

「テムズ河にある膨大な石ころのなかにも、他とは違う輝きを放つ石がある。
それを選り抜いて、分析し、ガラス玉かダイヤモンドの原石かをみきわめること」

これは、手嶋さんのベストセラー小説ウルトラ・ダラーで主人公である
諜報員 スティーブン・ブラッドレーが「インテリジェンスとは何を意味するのか」
と、問うた時の師 プロフェッサー・グリーンの言葉です。
ウルトラ・ダラー

手嶋さんは、日本語ではインテリジェンスもインフォメーションも「情報」と訳され
「これが大きな混乱のもと」と述べられ、大きくうなづいてしまいました。

加えて、インフォメーションを収集した人の認知(受け止め方)が加わり
下手をすれば、インフォメーションがフィクションになっていくことも多いですね。

元の職場に在籍していた時、学会で何回か、立て続けに発表を行ったら
「犬塚さんは、大学の先生になるつもりらしい」という噂が広がりました。

その時、私は大学の教員になるつもりはさらさらなく、驚きました。

フィクションが噂として広がり、流言蜚語にならないよう
有事でなくても、日常生活においても気をつけたいものです。

さて、「インテリジェンス・サイクル」とは…
リーダー(決断をゆだねられた者)が関心を部下に伝えることで
部下がインフォメーションを収集し、選別してインテリジェンスへと高め
その意味を読み取って、簡潔な報告書を上げる様になるサイクルのこと。

【(一般情報の)収集】→【選別・精査】→【分析・報告書とりまとめ】
→【決断を委ねられし者】というサイクルとのことです。

手嶋さんは2010年11月、APEC首脳会議を前に
北海道新聞で、次のように語られています。

「政府内の組織が、膨大な一般情報から
政治リーダーが決断に必要なインテリジェンスを選り抜いて提供する。
こうしたインテリジェンス・サイクルはどんな国家でも機能しているが
いまの菅内閣にはそうしたサイクルが存在しているのかすら疑わしい」

また、2010年2月18日の産経新聞ではすでに
当時の鳩山内閣について、次のように語られています。

「本来、政権の中にはインテリジェンスサイクルというものがなければいけません。
総理や官房長官は、外交や政策判断に必要な高度な情報を(現場に)求め
集約された情報をさらに精査し、判断材料にしていくことが求められます。
しかし今、鳩山(由紀夫)内閣の中でこのサイクルが回っているかといえば
その存在すら疑わしいといわざるをえない」

こうしたインテリジェンス・サイクルをもたない政治指導者たちが
3.11大震災により福島第一原発の事故が起こって以来
たびたび口走っているのは、「想定を超える…」ですね。

これについて、手嶋さんが春の集い講演会で語られたことを
「福島原発対論」を引用して紹介すると、次のとおりです。

「大災害や戦争には想定外の出来事は避けられない。

~想像すらできない事態を想定して備えておけ~

これは「核の時代の語り部」といわれた、アルバート・ウォルスタッター博士が
若い戦略家たちに言い聞かせていた有名な言葉です。

今度の大震災でも、原子力の専門家が想定していた規模を遥かに超える災厄が
現実のものになった段階で、緊急の指揮・命令系統を首相官邸に設置すべきでした」

しかしながら、菅総理、菅内閣の迷走は増すばかりです。

 手嶋さんは「想像すらできない事態」をブラック・スワンと呼び
これについても語られましたので、この続きは、改めて…。

「手嶋龍一流リーダーの条件(下)」へ続く

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第2次菅改造内閣 厚生労働副大臣の大塚耕平さんが
放射性物質と放射線についての正確な認識を共有したい、と
政治経済レポート「OKマガジン」で呼びかけているので
内容をダイジェストして、お知らせいたします。

同マガジンは、大塚さんが2001年の参議院議員に初当選して以来
発信し続けているメールマガジンです。

以下がダイジェストです。原文は、大塚耕平公式サイトから。
ダイジェストは、筆者の文責において行っています。

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1.世界三大原発事故

3月11日に発生した大地震、大津波に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故。

残念ながら、「フクシマ」は「スリーマイル」「チェルノブイリ」と並んで
世界三大原発事故として歴史に名前を刻まれました。

米国ペンシルベニア州スリーマイル島原発事故は1979年3月28日に発生。

燃料の一部が溶解。微量の放射性物質が放出され、
原発から半径約8キロメートル(5マイル)の住民約14万人が避難しました。

除染が確認できたのは1993年。事故発生から実に14年後でした。

一方、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉が大爆発したのは
1986年4月26日。原子炉建屋が吹き飛びました。

半径30キロメートル圏内の住民約12万人が強制避難。
その後疎開した人は約40万人に及びました。

事故発生から25年が経過した今も同圏内の立入制限は続いており、
原則として居住禁止。
約500万ヘクタールの農地が耕作禁止または制限の対象となりました。

福島の原子炉はスリーマイルと同じ軽水炉。チェルノブイリは黒鉛炉であり
福島はチェルノブイリと同じような展開にはならないという指摘が聞かれます。

もっとも、福島1号機から4号機の合計出力はチェルノブイリ4号機の約3倍。
専門家の中には、燃料に含まれる放射性物質は福島の方が圧倒的に多く、
潜在的危険性は高いという意見もあります。

放射性物質の放出を止め、原子炉の冷温停止を実現できるか否か。
福島の今後は全く予断を許しません。

2.未知との遭遇

飲料水、牛乳・乳製品、野菜・魚介類・肉類・卵等の食品への
放射性物質の影響も続いています。

今後、日本は長きに亘って放射性物質と向き合っていかざるを得ないのが
不可避の現実。

放射性物質の影響について、正確な認識と情報を持つことが肝要です。

原発事故発生直後の3月17日、厚生労働省は暫定規制値を導入。
原子力安全委員会が2000年に策定した基準値を準用したものです。

原子力安全委員会は、1974年の原子力船「むつ」の放射能漏れ事故を契機に
1978年に設立。1999年の茨城県JCOウラン加工工場での臨界事故を機に
体制が強化され、現在に至っています。

原子力安全委員会は国際放射線防護委員会(ICRP)が設定した基準値を参考にし
ています。ICRPの起源は1928年設立の国際X線ラジウム防護委員会(IXRPC)。
1950年に現在の名称になりました。

ICRPの勧告は、世界各国の規制の基礎となっています。

また、厚生労働省は乳児に関する暫定規制値については
コーデックス(国際食品規格)委員会(CAC)の基準値も参考にしました。

CACは国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が1963年に設立。
消費者の健康保護、食品の公正貿易促進を目的として活動しています。

国際的、学術的に信頼性の高いICRP、CACの基準値を参考にした
暫定規制値ですが、放射性ヨウ素については魚介類を対象としていません。

その理由は、魚介類については放射性ヨウ素が蓄積されにくいというのが
従来共有されていた科学的知見だったからです。

しかし、現実には魚介類からも高濃度の放射性ヨウ素が検出され、
世界は今、従来の科学的知見が通用しない
深刻な原子力災害の「未知との遭遇」に直面しています。

3.食物連鎖と生物濃縮

4月5日、政府は魚介類の放射性ヨウ素について暫定規制値を決定。
野菜と同じ2000ベクレル(Bq/kg)です。

茨城県沖で1日に捕獲したコウナゴ(イカナゴの稚魚)から
4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたことを受けた対応です。
その後、4日に捕獲したコウナゴから
526ベクレルの放射性セシウム(暫定規制値500ベクレル)も検出。
魚介類への規制もやむを得ない状況です。

3月24日、原子力安全委員会は次のような見解を公表しています。

「一般的には、海水中に放出された放射性物質は、
 潮流に流されて拡散していくことから、実際に魚、海藻等の海洋生物に
 取り込まれるまでには、相当程度薄まると考えられます。
 また、ヨウ素については、半減期が8日と比較的短いため、人がこれらの
 海産物を食するまでには、相当程度低減しているものと考えられます」

つまり、魚介類が海水中の放射性物質の影響を受けても、
人が食べるまでにはかなりの時間を経るため、問題ないという論理展開です。
従来から共有されてきたこの科学的知見は、2つの前提が崩れました。

第1に、海水が長期間に亘って高濃度の水及び空気の影響を
受けることは想定していないこと。

第2に、放射性物質が高濃度含まれる海水中に生息する魚介類を
捕獲することは想定していないこと。

つまり、第1の前提が崩れた結果、第2の前提も崩壊。
翻って考えれば、放射性物質の放出、高濃度の水の放出が抑止できれば、
魚介類に対する影響も軽減されるということです。

しかし、もうひとつ問題があります。
放射性物質の放出、高濃度の水の放出が抑止できても、
既に海水が影響を受け、一部の魚介類がその海水の影響を受けたことは事実です。
「食物連鎖」や「生物濃縮」に注意が必要です。

そのためにもモニタリングの充実が不可欠。
今後長きに亘って放射性物質と向き合わざるを得ない日本にとって
飲料水・乳製品・野菜・魚介類・肉類等の食品のみならず、
空気・土壌等、可能な限り、幅広く、継続的に、かつ十分な頻度で
検査を行うことが不可避の課題です。

(了)

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本日4/5のTVニュースでお知りになった方も多いとおり
岩手県二戸市の蔵元「南部美人」の専務 久慈浩介さんが
動画投稿サイトYouTubeをとおして、「お花見のお願い」を訴えています。

※YouTube『被災地岩手からの「お花見」のお願い』はこちらから
※NHKによる英訳 『please enjoy Sake from Iwate』 はこちら

久慈さんによれば…

「酒を飲んでいる場合じゃないというのが
 この東北の現状ではありますが、このままではわれわれ
 経済的な二次被害を大きく受けてしまいます」

「日本酒を飲んで頂くことで、われわれ東北を応援して頂きたい」

「お花見をしていただくことは、われわれにとっては
 自粛をして頂くことよりも、お花見をして頂くことのほうがありがたい」

「日本酒を飲んで、ぜひ、明日の活力にしていただきたい
 そして、みなぎった活力を少しでいいから、被災地に回していただきたい」

「われわれ、岩手の酒蔵はさらにいままで以上に
 美味しい日本酒を作り続けていきたいと思いますし
 その力をもって、沿岸の地域を助けていきたい…というふうに思っています」

「全国のみなさん、岩手のお酒を飲むことで支援をお願いします!」

もちろんです!

私はワイン党で、夕食ではほとんどワインを嗜んでおりますが
しばらくはワインをお休みして、東北のお酒を飲ませていただきます。

お酒だけではなく、東北の物産、生産物の購入も心がけます。

なお、今夜だけは、ワインのボトルを開けることを許してくださいね。
というのも、ちょうど今頃、ウェスティンナゴヤキャッスル 天主の間で
第16回 日本のお酒を味わう会が開催され、盛会のはずです。

名古屋の老舗酒問屋 秋田屋さんが毎年、主催されていて
名古屋の政財界の皆様から私のようなお酒好きの庶民まで
名古屋城の桜をめでながら、全国 数百種類のお酒を味わいます。

名古屋の桜は折しも、本日が満開です!

今年も参加を楽しみにしていたのですが、体調が万全とはいえず
満開の桜と全国の日本酒をあきらめる代わりに
いつもより特別なワインを自分にプレゼントしようと決めたのです。

だから、今夜はワインをいただきますけれども
明日からは、東北のお酒や食品を心をこめて、味わせていただきます。

なお、今年の「日本のお酒を味わう会」では、イベント会費の一部と
チャリティオークションの売上全額を義捐金として、寄付されるそうです。

名古屋の働き盛りの人々が、名古屋城の桜をお花見しながら
日本酒を飲んで癒されたり、心豊かになったりして
復興へ向けて、日本を支える原動力になっていくことを祈っています。

名古屋の皆さん はりきろうね!
東北の皆さん、あきらめないで!

ハナサケ! ニッポン!

<追 記>
日経ビジネスオンラインによると、久慈さんは地震発生時
東京行きの新幹線に乗っていて、トンネルの中で緊急停車した
新幹線車中に10時間、閉じ込められたとのことです。

※久慈さんの体験談は、記事「こんな時こそ東北のお酒を飲んで欲しい」から

私は、東京から名古屋へ帰る新幹線の中で被災し
新横浜手前の鶴見川の上で緊急停車した車中で4時間を過ごしました。

余震に揺れる橋の上は怖かったものの、30分ほどで予備電気が通電。
久慈さんたちは10時間、暗闇の中で過ごされたそうです。

久慈さんほどではなくても、それなりに怖い体験をした共感があり
南部美人さんの取り組みを心から応援し、東北のものを買います!

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